ビジネス

2021.12.06

日本流DXを実現するMagic Moment、CEOが語る「花鳥風月Model経営」とは

Magic Moment CEOの村尾祐弥氏




──社員の時から既に経営者の視点をお持ちですが、意識したのはいつからでしょう。

昔からコツコツでやるのでなく、一手で全てを変えるにはどうしたらいいんだろうと、学生時代はどうやったら寝て起きたらいい大学に入れるんだろう、と考えている不真面目な学生でした(笑)。学生時代に様々なアルバイトをしていくうち、工夫次第で大きな成果を生んでいくことを見出していったのです。

ファミレスのバイトでは、従業員、メニュー、レジ、料理の提供時間までの全部を「変数」と考えて、オペレーションを迅速にして料理を提供できたら客数を増やすことができるかもしれないと考え、実行しました。

誰も使っていなかったストアコンピュータを活用して去年のデータで平日なのに客数が突出した部分があって調べるとお祭りやイベントがあったんですが、それをもとに天候・気温のデータをうまく組み合わせて、予測して発注して史上最高数のあるメニュー(キノコ雑炊)を売ったこともあります。

当時からデータとエモーションをどう統合するか、自分なりの考えを組み合わせて予想を立てていくことが面白かったのです。また、美味しいと感じられること、安く提供すること、この2つを両立させること、様々な工夫によるその企業努力にこそ、価値の源泉があるということを学べました。それから素晴らしい営業をスケールさせたらだれよりも負けないことができるのではないかと考えてきたのです。

──2017年にMagic Momentを設立され、1月には営業支援SaaS「Magic Moment Playbook」がリリースされました。手応えはいかがですか。

我々はプロダクトに加え、必要に応じてお客様と一緒に営業を行う人的リソースを提供しているんですが、爆発的な成果を出せる形となってきました。

お客様であるLINE社では、受注率のパーセンテージが10倍以上になりました。リストからお客様になった率が当初は0.3%よりなかったものが2.47%になったのです。今はさらに5%を超えています。今までと同じ時間と労力をかけても10倍効率化されるわけです。効率化させられるのに質の良い営業ができる。まさに目指している世界だと非常に良い手応えを感じています。

通常、営業では『アポを取れ』の令でアポを取ります。もちろん、アポは増えますが、無理やり取るので商談も説得してリードタイムが長くなる。質は下がって量は上がるので無駄なリソースを使っていることになってしまうのです。「Magic Moment Playbook」では、今何をすべきか、次にどう動くべきか、アクションをサジェストしてくれます。だんだん行動の質が上がって結果が出ていくので好循環を生んでいくのです。
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インタビュー:加藤倫子、谷本有香 文=加藤倫子

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