──ブランドづくりについて、野口さんが工夫されていることをお聞かせください。
まず前提として、「ブランドが成立している状態」がそもそも何かというと「自分たちが思う適正価格をお客様に認めていただける状態」だと思っています。
その考えのもとモニタリングしているのが「(フリマアプリなど)セカンダリーマーケットでの価格」です。市場原理として「ブランドが成立している状態」であれば、2次流通の価格も崩れないはずだからです。
例えばエルメスさんのバッグは、二次市場で一般販売価格よりも高値で取引されています。これは需要に対して供給が満たされていない範囲内で彼らが商品を製造しているということ。
きっと裏側では、数理モデルでロジカルに生産数が算出されているのではないでしょうか。
野口卓也(のぐちたくや)◎1989年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部中退。ITベンチャー等複数の企業を立ち上げ、2013年にBULK HOMME事業を開始。2017年、組織再編を経てバルクオムを設立、代表取締役CEOに就任。
我々はまだそこまで明確な数理モデルが確立されているわけではありませんが、セカンダリーマーケットでの価格をひとつの指標とすることで、需要と供給がバランスされているかを確認できると思っています。
例えば、今年テレビCMを放映させていただいたタイミングで、コロナ禍によるEC伸長も重なり、我々のシャンプーの生産が追いつかず欠品してしまった期間がありました。
楽しみにしてくださっているユーザーの皆さまにご迷惑をおかけしてしまい申し訳なかったのですが、その欠品期間中にいわゆるフリマアプリでは我々のシャンプーが3倍ぐらいの値段で取引されていました。
これはセカンダリーマーケットが市場原理を表す指標となりうることを改めて確認することができた出来事となりましたね。
──ブランド価値をも定量的に捉えようとする姿勢が印象的です。ほかに意識されていることは
競合企業を意識した戦略は絶対にとらないということを徹底しています。
どういうことかというと、市場に既に存在するお客様に対して商売するのではなく、今はまだ商品を吟味したことがない方に興味を持っていただき、買っていただくことが我々の存在意義だと思っているんです。
例えば大手化粧品会社が新ブランドで百貨店に販売網を構築したからといって、うちが戦いを仕掛けて出店するという考え方は一切しません。
はじめてスキンケアをするお客様にとって、我々のスキンケア商材は信じられないほどの効果実感を提供できると自信を持っています。ゆえに競合他社を見るのではなく、新しいお客様に対して再現性を持って商品を広げていくこと。
これに集中することが、我々のブランド価値だと考えています。
野口卓也(のぐちたくや)◎1989年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部中退。ITベンチャー等複数の企業を立ち上げ、2013年にBULK HOMME事業を開始。2017年、組織再編を経てバルクオムを設立、代表取締役CEOに就任。