──「世界No.1企業になれる」「日本でやる優位性がある」ことを軸に、「メンズスキンケア」が選ばれた理由についてもう少しお聞かせいただけますか?
市場に「圧倒的なガリバー企業が存在しない」というのが大きな理由でしたね。
周囲に男性用シャンプーやスキンケアに拘っている人が結構いたのですが、「どのブランドが一番売れてるの?」という質問をしても明確に回答できる人がいなかったんです。
つまりブランド戦略の観点でメンズビューティー領域は、まだ“第一想起”が狙える黎明期だと感じました。
──野口さんが事業を開始された頃はウェブサービスでの起業全盛で、D2C(Direct to Customer)といった概念もありませんでした。珍しい選択だったのではないでしょうか。
これには前日談があります。
実は大学を中退して、最初に起こした事業はウェブサービスでした。バーティカルSNSなどたくさん開発しましたが、どの事業も上手くいかなかったんです。
「世の中を変えよう」と志して起業したのに、小さな規模で失敗したり、少しの売上に一喜一憂して何年かを過ごしたりする間に自分が嫌になってしまって。改めて「人生を賭けてフルコミットする領域は何か?」を見つめ直しました。
そこで出てきた答えが、「世界No.1企業になれる」「日本でやる優位性がある」というもの。そのために「圧倒的なガリバー企業が存在しない市場で戦う」という判断軸が生まれました。
そういう判断軸で見た時に、ウェブサービスはアメリカ勢が既に世界を席巻してしまっていて興味が持てなかったのです。それに対して「メンズスキンケア」はまだまだ黎明期で、我々が市場を作って圧倒的No.1の存在になれる可能性があると見通しました。
BULK HOMMEは事業開始当時から変わらず「メンズスキンケアブランド世界シェアNo1」を本気で目指しています。メンズビューティーという新たな価値を確立させ、日本だけではなく世界を牽引するブランドになりたいと思います。
野口卓也(のぐちたくや)◎1989年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部中退。ITベンチャー等複数の企業を立ち上げ、2013年にBULK HOMME事業を開始。2017年、組織再編を経てバルクオムを設立、代表取締役CEOに就任。