仏AFP通信によると、同国のメディア大手ラガルデール(Lagardere)傘下の月刊誌であるエルは、誌面とオンラインコンテンツの双方で、記事と広告での毛皮の取り扱いをやめる。すでに13エディション(版)で中止しており、来年1月には新たに20カ国・地域版がそれに加わる。2023年1月には、全面的に廃止する方針だ。
同誌のシニアバイスプレジデント兼インターナショナルディレクターのバレリア・ベソロ・ロピズはロイターに対し、ファッション業界、高級品業界にとって最も重要なターゲットである若年層、特にZ世代にとって、毛皮はもはや「時代遅れで、ファッショナブルではなくなっていると考えられる」とコメント。
また、ウェブサイトに毎月およそ1億人がアクセスする同誌がこうした方針を打ち出すことは、動物福祉に対する意識をさらに高めると同時に、持続可能な選択肢に対するニーズを引き上げることにも役立つとの見方を示している。
多方面に影響
誌面からの毛皮の排除に向け、ラガルデールと協力してきた動物愛護団体の米国人道協会はこのエル誌の決定について、「ファッション業界のあらゆる部門に影響を与えることになるだろう」「非常に大きなことだ」と述べている。同誌と協力したいブランドはいずれも、毛皮に代わる新たなものを探すことになるためだ。
すでにグッチやプラダ、カナダグースなどの大手ブランド、米サックス・フィフス・アベニューなどの高級百貨店チェーンなど、一部は毛皮の使用を中止している。だが、パリ、ミラノ、ニューヨークで開催されるファッションウィークなど、大規模イベントでは使用が継続されている。
高い意識を持つ消費者が増加していることもあり、毛皮の人気は徐々に失われてきた。毛皮のために殺処分されたミンクは昨年、米農務省(USDA)が統計を取り始めた1975年以来、最も少ない約140万匹にまで減少している。