タンポンを子宮内膜症の診断に活用 米企業が調査

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子宮内膜症の診断と治療に対する研究は、過去10年で飛躍的に増えている。

子宮の内側と似た組織が体の他の部分で見つかる病気である子宮内膜症は、患者を衰弱させるような慢性的な痛みや、妊娠にまつわる問題につながる場合が多い。

この病気は、世界中の女性や生理がある人の推定10%に影響を与えているにもかかわらず、医師から明確な診断を受けるまでには平均で7年半かかる。しかし研究者らは、タンポンを活用して子宮内膜症や性に関する病気を診断できるかもしれないと強調した。

子宮内膜症は、病気を抱える人の心の健康や人間関係に多大な影響を与えかねない長期的な病気だ。活動家や慈善団体、患者らは、子宮内膜症に関する認識を向上させ、慢性痛を抱えて生活することのつらさを取り上げるためたゆまぬ努力をしてきた。

子宮内膜症では、月経前後の変化と同様に子宮の内側に似た組織が発生して血液で腫れ、慢性的な痛みが引き起こされる場合がある。この血液は体から簡単に排出されず、それにより激しい痛みが生じることがあり、組織の場所によっては瘢痕(はんこん)組織が生まれたり妊娠が困難になったりする可能性もある。

子宮内膜症の診断を受け、病気や症状について理解している専門家を見つけるまでのプロセスが、長く感情的に疲弊するものとなり得ることは多くの患者が証言できるものだ。しかし、データを中心とした医療企業ネクストジェン・ジェーン(NextGen Jane)は米ハーバード大学と協力し、診断プロセスを今よりはるかに迅速で低侵襲的なものにする方法に取り組んでいる。

同社とハーバード大学は現在、タンポンから絞り出した経血を使って子宮内膜症などの病気を診断する方法を研究している。同社のウェブサイトには「私たちは、タンポンの中の細胞から出されるゲノム信号を分析し、その人の妊娠能力や生活の質に影響を与えかねない病気の初期兆候を発見することを試みている」と書かれている。

同社は、月経があなたの全般的な健康について教えてくれることを無視するのは機会の損失だと考えている。「体は毎月、月経で子宮内膜をはがす際に自然な生体検査を提供してくれている」と述べた同社は「性と生殖に関する健康の監視システムとして機能するスマート・タンポンの基盤を通し、当社は思春期から閉経後までの健康管理の方法に影響を与えることを望んでいる」と続けた。
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翻訳・編集=出田静

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