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朝日新聞外交専門記者

viper-zero / Shutterstock.com

11月30日午後6時過ぎ、米軍三沢基地所属のF16戦闘機1機が青森空港に緊急着陸した。エンジントラブルとみられている。着陸前、非居住地区に燃料タンク2個を投棄した。松野博一官房長官は12月1日の記者会見で「米軍に対しては遺憾の意を伝えた」と述べた。

T-2CCV研究機の飛行試験やFSX開発に参画し、航空幕僚監部防衛部長や教育集団司令官などを務めた平田英俊元空将によれば、緊急着陸の際には機体を軽くするのが常道だという。青森空港の滑走路は、戦闘機も十分発着が可能な3000メートル級だが、機体が重ければオーバーランする可能性もあるし、場合によっては火災や爆発を起こす可能性もある。今少し余裕があるのなら、燃料を捨てながら飛んでから着陸するが、今回の場合はその余裕もなく、タンクを直接捨てたのだろう。

平田氏は「パイロットなら、燃料の残量をみて、どのくらいの滑走路が必要なのかはすぐに判断できるはずだ。後はタンクを捨てて起きうる被害と、そのまま着陸を試みて起きうる被害を比べて、より問題が少ない方を選ぶことになる」と話す。そして、「F16はまだしも、これからはF22やF35が全盛の時代になる。そうなると、操縦技術より、こうしたことも含めた判断力が、パイロットに必要な資質として求められるだろう」と語る。

今年3月に運用が終了するまで、長らく航空自衛隊で活躍したF4戦闘機は、翼が短く、パイロットの技量が求められる航空機だった。F4パイロットだった知人に話を聞いたら、「操縦桿は上下左右にだけ動かし、あとはラダー(方向舵)を使って飛ぶ方向を変える。操縦桿をやたらに動かすと、機体がひっくり返っちゃうんだよ」と語っていた。

ところが、F22やF35には、「フライ・バイ・ワイヤ」(FBW=fly-by-wire)と呼ばれるコンピューター制御の操縦システムが採用された。パイロットが操縦桿やペダルを動かすと、それが電子信号に置き換えられ、コンピューターがその飛行状態で最適の舵面を動かして操縦を行ってくれる。例えば、エルロン(補助翼)だけで無理に針路を変えようとすると、コンピューターが、機体が不安定になる可能性があると判断。パイロットが操縦桿に加えた力の加減から、どのような進路を取りたいのかを解析し、エルロンだけでなく垂直尾翼のラダーなどを動かして、操縦者の意図通りに機体を安全に動かしてくれる。

文=牧野愛博

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