ビジネス

2021.12.03 10:30

時代遅れから世界的トレンドへ。ポーランド発の人気宅配ポスト


ブロスカは投資家に対して、欧州を縦横無尽に走る配達トラックよりも、ロッカーのほうが安価でエコフレンドリーだと説く。ロッカー1台でトラック24台分の荷物を保管できるからだ。彼はこう言う。

「ロッカーにこそ、物流の未来があるのです」

インポストは3月にフランスの宅配便大手モンディアル・リレーを6億7500万ドルで買収し、欧州での地盤を固めようとしている。中国のアリババや、ポーランドのeコマース大手アレグロ、郵便大手ドイツポストもロッカーに商機を見出しているが、ブロスカは戦いを恐れてなどいない。スーツには不似合いな幸運のブレスレットをつけた彼は、社員たちを叱咤激励した時にこう語ったと明かす。

「私はさそり座の男だ。私たちは必ず生き残る」


インポスト◎2006年創業、ポーランドの物流・倉庫運営企業。創業者はラファウ・ブロスカ。中核事業の物流が苦しみ、破綻しかけるが、米資産運用会社の出資と戦略によってロッカー運営で成功。欧州他国への進出を目指している。

ラストワンマイル問題◎eコマースが普及することで、配送の最終拠点から顧客の配送先までの最終区間をどう効率化・利便化するかが重要になる。いわゆる「ラストワンマイル問題」だ。インポストはロッカー事業に特化することで、新たな“答え”を提示した。今では、競合のアマゾンもインポストのロッカーを配送先として利用するように。

ラファウ・ブロスカ◎学生時代に創業したインポストが物流事業で苦戦し、破綻しかけたとき、投資家たちに「負債を一つ残らずすべて返したい」と語ったという。「母国で生きていきたい」からだ。

文 = イアン・マーティン 写真 = サンドラ・ソベルスカ 編集 = 上田裕資

この記事は 「Forbes JAPAN No.085 2021年9月号(2021/7/26発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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