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2021.12.02

米サイバーマンデーの支出額、初の減少 前倒しセールに分散

Photo Illustration by Justin Sullivan/Getty Images

米アドビの分析よると、米消費者のサイバーマンデー(11月29日)の支出額は前年比1.4%減の約107億ドル(約1兆2100億円)と初めて減少に転じた。11月にはこれより前にオンライン売上高が記録的に伸びており、長引く供給制約に小売企業や消費者が前倒しのセールの利用で対応しているとみられている。

今年のサイバーマンデーの支出額はアドビの見通しの下限にあたる水準にとどまった。アドビは最高では113億ドル(約1兆2800億円)に達すると予想していた。

アドビ・デジタル・インサイツのテイラー・シュライナーは、減少の背景には「サプライチェーン(供給網)の問題や商品の在庫についての認識が広がった」ことがあると説明する。そのため一部の消費者は、通販サイトでの買い物を10月から11月にかけて分散させたという。

「10月に早めのセールが実施されたので、消費者はサイバーマンデーやブラックフライデーのような大規模なショッピングイベントまで値引きを待たなかった」(シュライナー)

これに先立つブラックフライデー(11月26日)の売上高も前年から1.3%減った。一方で、11月のオンライン売上高は1098億ドル(約12兆5000億円)と前年比11.9%増えており、ホリデーシーズン全体では過去最高を塗り替える見通しとなっている。

バイタル・ナレッジ・メディアの市場アナリスト、アダム・クリサフリは、昨年は新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)の影響でオンラインで買い物せざるを得ない米国人が多かったことを踏まえると、今年のサイバーマンデーの売上高が増えるのは難しい状況にあったと指摘している。

米国の小売業界では、消費者支出がこのところ過去最高近くに達しているにもかかわらず、パンデミックに関連したサプライチェーンの問題が響いて利益が予想を下回る企業が続出している。アドビによると、サイバーマンデーには在庫切れのメッセージが1週間前に比べ8%増え、11月全体ではパンデミック前に比べ169%急増している。

アドビによると、サイバーマンデーは今年これまでではなお最大のオンラインショッピングデーとなっており、米東部時間午後11時からのピーク時には1分間の平均支出額が約1200万ドル(約14億円)を記録した。

編集=江戸伸禎

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