お金に支配されず、幸せに付き合うには? 金融教育と仕事の選び方

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金融教育で「好きを仕事に」


このように、どのようにしてお金を稼ぐのかということについて学ぶのも、金融教育の目的の1つである。日本では、金融教育というと投資教育と紐づけられがちなため、所得や資産が多い人たちが受ける教育と思われがちだが、本来は全ての人が受けるべきものなのだ。

前述のように、お金に困らない生活をしたいから安定した仕事を選ぶといった選択も正解ではあるが、あまりにも仕事から得られる給料の額ばかり気にしてしまうと、その多寡が仕事の価値を測る尺度となってしまい、気づけばお金に縛られてしまうという状態にもなりうる。

お金を目的として生きるのではなく、自分のやりたいことを実現するための道具としてお金と向き合うという考え方や方法を、金融教育のなかでは教えるべきであろう。

前出の「13歳からの億万長者入門」では、稼ぐ力や貯金力、投資力など、お金に関わるさまざまな能力についての紹介がなされている。まさに金融教育では、お金を増やすための投資だけではなく、いかにお金を稼ぐのか、使うのか、貯めるのかといった多面的な考えを学ばせないといけない。

また、金融教育のなかで投資を教えるにしても、ただ投資テクニックを伝授するのではなく、自身が投資している、または投資を検討している企業の株価が下った際に、「なぜそうなったのか?」という疑問を持たせ、その理由を調べて考えさせるといったアクティビティも重要になるだろう。

株式市場を通じてお金の動きを追うことで、世界で起きているさまざまな経済事象が自身の生活にも密接につながっていることが見えてくる。すると、テレビで見る遠い国のニュースも、自分の生活につながっていると実感できるようになり、翻って自国のことにも意識が向くキッカケにもなる。

経済を含む世界情勢や、社会やビジネスの仕組みを知れば、結果として好きなことを仕事にする際に、成功確率も格段に上昇するだろう。来年から高校の家庭科の授業のなかで「資産形成」が取り上げられるため、2022年は「金融教育元年」とも呼ばれている。

ぜひ子どもたちと好きなことを仕事にするためにはどうすればよいかなどという会話をすることで、家庭での金融教育の一歩を踏み出してほしいと思う。

連載:0歳からの「お金の話」
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文=森永康平

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