ビジネス

2021.12.01

コスメブランドLUSHが一部SNSの利用を停止した理由

Photo by Matthew Horwood/Getty Images

「バスボム」などの人気商品で知られる英国発のコスメブランド、ラッシュ(LUSH)は11月22日、ソーシャルメディアにボム(爆弾)を投下した。一部のソーシャルメディアで同社が持つアカウントについて、11月26日にサインアウトし、利用をやめると発表したのだ。

同社はこの措置について、「これらのSNSプラットフォームが、より安全な環境をユーザーに提供するために行動を起こすまで」継続するという。

ラッシュは、北米のインスタグラム・チャネルだけでも400万人もの米国人フォロワーを有している。同社は、そうしたソーシャルメディア経由で生まれている1300万ドルもの売上を失うリスクを認めつつも、インスタグラム、フェイスブック、TikTok、スナップチャットから、少なくとも1年間は距離を置くとの決断に至ったとしている。

英国南部の港町、プールに本社を置くラッシュは、同社が持つSNSアカウントの利用を休止するという発表の中で、この方針は、同社がビジネスを展開する世界48の国と地域に適用されると述べた。そして、今後は「他の場所でより良いコミュニケーションチャネルを構築していく」とする一方で、「現時点では」ツイッターやユーチューブのアカウントについては継続利用の意向を示している。

ラッシュがソーシャルメディアの世界に反旗を翻したのは、今に始まった話ではない。同社は2019年3月にも、英国で複数のソーシャルメディア・アカウントから撤退を試みている。だがその後、新型コロナウイルスの感染拡大防止策としてロックダウンが実施されると、その間の顧客対応の一環として「最大限の努力をしたが、(SNS)チャネルに戻る」ことを余儀なくされたという。

声明の中で、ラッシュはこう述べている。「多くのティーンエージャーと同様に、ラッシュも、ソーシャルメディアの利用をやめようと試みてきた。だが、私たちのFOMO(取り残される不安)や、さまざまなプラットフォームを使いたいという強い衝動は非常に大きく、良い目標を持ったとしても、SNSに戻ってしまっていた。それでも私たちは今回、(ラッシュ流の)SNS断ちを再び試みることにした」

ラッシュの最高デジタル責任者で商品発案者でもあるジャック・コンスタンティンは、BBCのラジオ番組「トゥデイ」で以下のように述べた。「ソーシャルメディアチャネルは今こそ、現実の悲鳴に耳を傾けるべきだ。人々のメンタルヘルスに与えている影響、さらには、ユーザーのためになるかどうかを考慮せず、アルゴリズムに絶え間なくコンテンツを生成させることで社会に与えている害悪を自覚すべき時だ」
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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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