ライフスタイル

2021.12.07 18:00

社会に役立つこと以外つまらない。「死」に直面して知った利他の心


小山:非常に勉強になります。僕は滝さんの足元にも及びませんが、僕の人生でいちばん大きな買い物は京都の「下鴨茶寮」という料亭だったんですね。

:よく判断されましたね。何を思って買ったのですか?

小山:日本文化をここで和(あ)えたり、あるいは京都の文化に触れたりできる場、「文化芸術の器としての商売」の可能性を感じて買いました。


小山が2012年より主人を務める創業安政三年(1856年)の「下鴨茶寮」にて、最年長スタッフの誕生日を祝う

:実際にそういう場にできている実感はありますか。

小山:あります。だからこそ、資産家の皆さんに儲けるためだけではない──儲けても当然いいのですが、トントンでもいいくらいの投資や浪費を考えていただけたらなと。そのほうが、人生が楽しくなると思うんです。

:『妄想浪費』はまさに教科書になりますね(笑)。

小山:だとよいのですが。例えば銀行にも妄想浪費的な発想の、ファイナンシャルプランナーではなく、ハッピープランナーみたいな人がいると素敵だなと思うんです。

:薫堂さんがそういうハッピー銀行を始めたらどうですか。応援しますよ。

小山:ぜひ、お願いします! 本日は有意義なお話をありがとうございました。

【連載】小山薫堂の妄想浪費はこちら>>


たき・ひさお◎実業家・「ぐるなび」創業者兼会長・東京工業大学名誉博士。1940年、東京都生まれ。東京工業大学理工学部を卒業。三菱金属(現三菱マテリアル)を退職後、父が創業した交通文化事業社(現NKB)を継承。85年、NKB取締役社長就任。96年、飲食店検索サイト「ぐるなび」を開設。99年に運輸省交通文化賞を、2003年に東京都功労賞を受賞。2018年、紺綬褒章を受章。2020年、文化功労者に選出される。

こやま・くんどう◎放送作家・脚本家・京都芸術大学副学長。1964年、熊本県生まれ。『カノッサの屈辱』『料理の鉄人』など斬新な番組を数多く企画・構成。商品開発、企業のプロジェクトアドバイザー、熊本県や京都市など地方創生の企画にも携わる。熊本県のPRキャラクター「くまモン」の生みの親。2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)ではテーマ事業プロデューサーを務める。

取材・構成=堀 香織

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