小山薫堂がぐるなび滝会長に聞く、「貢献する気持ち」の本質

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:「日本の食文化」は世界一。それを守るためには若い料理人がスポーツ選手みたいに上を目指す仕組みをつくらないといけないし、そのためには感動を呼ぶ何か──スポーツならオリンピックのようなものを企画しないといけない。

僕が思う小山薫堂さんというのは、「感動」に対する天才的な感覚がある。その感動が世の中を動かす原動力になる。料理界と感動を繋げられるのは誰かといったら、もう薫堂さんしかいない。

小山:いやもう、恐縮です。

:その予感は当たりました。薫堂さんは、新世代の若き才能を発掘する日本最大級の料理人コンペティション「RED U-35」という見事な企画を考えてくれた。

しかも審査員の先生方に「皆さんは、料理人にとって、天使なのです!」と高らかに宣言までして。「天使」なんて言われちゃったら、何事も逆らえないですからね(笑)。僕らを喜ばせる、最大級のひと言でした。


「RED U-35 2021」のオンライン受賞セレモニー

小山:僕は放送作家として『料理の鉄人』という番組を長く担当したのですが、当時目指していたのは「面白いエンターテイメント」だったんです。「鉄人」や「挑戦者」を料理界のスターにするためではなく、とにかく面白いエンタメを追求していた。だからこそ、中には不快な思いをされた方もいたかもしれないと、いま思うんです。

だから、RED U-35で、若き才能を見出し、結果としてその方が料理界のスターになるまで見届けるというのは、少なからず贖罪の気持ちもあって。そういうチャンスを滝さんからいただけたので、やりがいをもってこの企画に取り組んでいます。

:RED U-35は、グランプリこそ「レッドエッグ」ひとりですが、他にゴールドエッグ、シルバーエッグ、ブロンズエッグという地位もあって、毎回50人ほどをノミネートしますね。

そして彼らを、次代を担う料理人たちのクリエイティブ・ラボ「CLUB RED」へと所属させる。孤軍奮闘していた若き料理人に、自分と同レベルで将来料理界を牽引するであろう仲間ができるわけです。ラボによって料理人コミュニティを活性化させるというアイデアには舌を巻きました。

小山:ありがとうございます。料理人の皆さん、すごく仲良しですよね。

:勉強会をやると、みんな集まりますし。

小山:僕は個人的に、ある若い料理人から言われた言葉が忘れられないんですよ。

「僕は孤独な山登りをしていました。何合目まで到達できているのかもわからなかった。でも、RED U-35のおかげで、自分はここまで登ってきているとか、仲間がこれだけいるんだ、助け合えるんだということに気づくことができました」と。これは本当にうれしい言葉でした。


基調講演、講義、チーム対抗料理対決、懇親会など盛りだくさんの内容で開催されるクリエイティブ・ラボ「CLUB RED」のプロフェッショナル・ワークショップ
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取材・構成=堀 香織 写真=操上和美(滝久雄ポートレートのみ)

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