ボブ・チャペック最高経営責任者(CEO)は先日行われた第4四半期決算報告で「当社は現在、オンラインスポーツ賭博分野でのプレゼンス拡大も目指している。当社のリーチや規模を考えれば、この分野の第三者企業と非常に有意義な方法で提携できるポテンシャルがある」と述べた。
同社の今年の業績は振るわず、米ウォール街の予想を下回ったが、スポーツ事業はその中でも好調だった。ストリーミングサービス「ESPN+」の契約者数は今年度に66%増加。ディズニー傘下のテレビ局では昨年、視聴者数が多かった番組の90%はスポーツイベントだった。2023年から10年間の全米プロフットボールリーグ(NFL)放映権も獲得した。
しかし、ESPNの第4四半期の広告収入は昨年同時期比で横ばいだった。チャペックは、ギャンブルが新たな収入源となり、若い世代を引きつけ保持できる可能性があるとし、そのためには「より大きな形でギャンブル事業に参入することを真剣に考えなければならず、ESPNがこの基盤として非常に適している」と述べた。
同社は既に同分野を試している。ESPNは昨年、賭博大手のシーザーズ・エンターテイメントやドラフトキングスと契約を結び、ESPNウェブサイトと両社のスポーツ賭博サービスをリンクさせた。米紙ウォールストリート・ジャーナルは8月、ESPNがシーザーズかドラフトキングスとブランドライセンス契約を結ぶべく協議中だと報じた。この契約は30億ドル(約3400億円)規模になる可能性がある。
ここでの大きな疑問は、ディズニーが具体的にどのようにESPNを通じてギャンブル業界に参入するのかだ。チャペックは参入方法の詳細には触れなかったが、スポーツ賭博参入によりディズニーやESPNの評判が落ちることは懸念していないと明言した。
「ギャンブルは今や、10年、20年前のような評判はなく、ブランドを損なうことなくギャンブルに参入できるのかとの懸念もある。しかし最近当社が行った調査の結果に鑑みると、そうはならないと言える。賭博事業を持つことで実際にはESPNのブランドが強化され、ディズニーのブランドには何も影響がない。そのため、この機会とその大きな売り上げの獲得を目指すことは、私たちが強い関心を持ち、積極的に追求しているものだ」