株価揺らすオミクロン株、それでもアナリストがS&P500に強気な理由

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新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」によって、また同じような光景が繰り返されるのだろうか?

11月26日の株価急落を目にして、昨年2月から3月にかけてのようにS&P500種株価指数は再び一気に下落するのではないかと思った人もいただろう。

だが、ウォール街のベテランアナリストで調査会社ヤーデニ・リサーチを率いるエド・ヤーデニの見方は異なる。ヤーデニはリンクトインに投稿した最新のリポートで、「S&P500は引き続き上昇し、最高値を更新していく」と予想。目標値は今年末時点で4800、来年末は5200、2023年末は5500とした。

ヤフー・ファイナンスによると、記事執筆時点(米東部時間11月30日午前)ではS&P500は4655前後となっている。ヤーデニは、S&P500と連動する上場投資信託(ETF)「SPDR S&P500」についても、新たな高値をつけると見込んでいる。

ヤーデニがこうした見方の根拠のひとつに挙げるのが、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)が始まった昨年初め以降、米国人の貯蓄額が2兆9000億ドル(約329兆円)と驚異的な額に膨らんでいることだ。

その反動もあって、いずれ米国人の支出は本格的に再開する可能性が高い。そうなると企業の収益は押し上げられ、収益が上がれば遅かれ早かれ株価も上がるだろう──という見立てだ。株価は企業の将来の収益力を反映する傾向にある。

ヤーデニは、米国経済の潤滑油となるマネーが十分にあることにも言及している。現金や預金の総額を指す「M2」のことである。「名目国内総生産(GDP)の成長押し上げに利用できる現金が潤沢にある」とヤーデニは書いている。

この点が重要なのは、現金(やその同等物)が足りない場合、景気が減速するおそれがあるからだ。

強気見通しの根拠となりうる、もうひとつの要因も明らかになりつつある。政府による新型コロナ対策の規制に多くの人が反発していることだ。なかには、義務化されているワクチン接種を、たとえ解雇される可能性があっても拒否する人もいる。

こうした状況は、11カ月後に中間選挙を控える米国の政治家にとって悩ましい問題だろう。有権者はおそらく、強硬な規制の導入にかかわった現職議員を好意的にみていない。

重要な選挙の前に、政治家があえて有権者の機嫌を損ねるようなことをするとは思わないほうがよいだろう。

編集=江戸伸禎

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