そんな社会を変え、ジェンダーギャップをなくそうと、女子中高生を対象にIT・コーディング講座やグローバルアプリコンテストへの日本出場チームの支援などを行っているのが、2019年設立の一般社団法人「Waffle」だ。
同社CEOの田中沙弥果と共同創業者の斎藤明日美は、2020年にForbes JAPANが“30歳未満の30人”を選出するアワード「30 UNDER 30」を受賞。2021年はアドバイザーとして推薦・選出に関わった。
今年の30 UNDER 30のテーマは「インクルーシブ・キャピタリズム」。インクルーシブ・キャピタリズムとは、年齢、性別、有名無名、過去の実績や規模の大小など、立場にとらわれずに資本へアクセスできるようにすることで、より強い成長を目指すというものだ。
田中と斎藤は、日本におけるジェンダーギャップの現状をどのように捉え、Waffleの活動を通して社会にどのような価値をもたらそうとしているのか。話を聞いた。
なぜ「テクノロジー」が大事なのか
斎藤:私が「IT分野のダイバーシティ」に興味を持ったきっかけは、まさにインクルーシブ・キャピタリズムに沿ったものでした。
今やテクノロジーは、資本や権力に強く結びついています。代表的な例はGAFAです。企業規模の大きさだけでなく、あらゆるデータを保有していることや、各国が課税に苦戦していることもあって、国より強い権力を持っていると言われることもありますよね。
これからの時代、夢を叶えて「強い権力」や「高い社会的地位」に到達するためには、「テクノロジー」に強いことが重要な条件になります。この視点を女性の社会的、経済的地位向上にも取り入れることが重要だと考えています。
私は元々、データサイエンティストとして企業で働いていたのですが、5年前くらいの当時から、日本での職業選択におけるジェンダーステレオタイプに疑問を感じていました。
最新の調査結果でも、例えば、高校生を対象とした「なりたい職業ランキング」(2021年7月、ソニー生命)を見てみると、男子のランキングでは、ユーチューバーの次に実業家、エンジニア・プログラマーと続きます。一方で女子は、公務員、看護師、保育士、教師・教員が上位を占めている。
この背景には「テクノロジーは男子のもの」といったアンコンシャスバイアスや、「男子はこうでなきゃ」「女子はこうでなきゃ」というステレオタイプの影響が見えます。また、保護者や教員が女子中高生に勧めるのが、いわゆる「手に職系の職業」という傾向もあります。