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2021.12.02

IT分野からジェンダーギャップをなくす。Waffleが目指す未来

(左から)Waffle CEOの田中沙弥果と共同創業者の斎藤明日美


官民連携で進める仕組みが必要


田中:こうした現状を変えるために、多くの人は特効薬となる政策を欲しがりますが、日本で実現可能なのは、それよりも「漢方薬」的な考え方が重要だと思います。じわじわと効果が出てくる施策を、様々な視点からあれもこれもやりながら全体的に良くしていかなければ、根本的に変えることはできません。

まず教育現場では、理数系の科目を教えられて女子のロールモデルにもなる女性教員を増やすことが必要です。大学の理工系学部の女子学生比率も増やす必要がある。そして、我々のように女子中高生向けに教育を行う外部団体の活動も必要だと思います。

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田中沙弥果

そこでカギとなるのが、行政と民間の連携です。Waffleでは、政府への政策提言も行っていて、2020年9月には、第5次男女共同参画基本計画に「理数系科目の女性教員を増やす教職課程での取組」を盛り込むことなどを提言しました。

こうした活動を通じて、官民の連帯感を保ちながら同じ方向に進める仕組みをつくっていきたいです。

女子中高生が受講しやすい環境を提供


斎藤:理数系の女子を増やす取り組みとして、Waffleではウェブサイト制作に必要なスキルとコーディングを学ぶ、女子中高生限定の講座「WaffleCamp」を提供しています。

これは計3週間にわたるプログラムで、事前学習1週間、半日の受講、事後のアフターフォロー2週間という内容。各回定員10人と少人数制をとっていて、エンジニアや情報系の大学院生など、女子中高生のロールモデルとなりうるテクノロジー好きの女性が1対2で教えます。スキルを教えるだけでなく、ロールモデルからのキャリアトークセッションの時間も設けています。理系に興味のある中高生に対して、「応援したい」という気持ちを持っている人ばかりです。

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参加してくれる女子中高生はプログラミングの初心者も多いのですが、「やってみたら夢中になった」という声もたくさん聞きます。また、講座の中で「ITは、美容やファッションなど、一見無関係と思うような分野ともつながる」という話をすると、「これまでは自分にはまったく関係ないものだと思っていたけれど、興味が湧いた」と将来の選択肢の一つとして考えるようになってくれる方も多いです。

斎藤:進学の後押しにもなっていますよね。例えば、大学の工学部には女子学生が少ないので「進学に不安を抱えている」という学生がいたのですが、受講後に「すごく背中を押された」と言われました。
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文=三ツ井香菜 取材・編集=田中友梨 撮影=山田大輔

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