彼は小学校時代の3年間をニューヨークで過ごし、現地の公立小学校に通った経験を持っている。それ以降、留学や駐在などの経験はないようだが、2012年12月に発足した第二次安倍内閣で外務大臣として入閣し、2017年8月まで務めた。
総理就任後に海外メディアから聞こえてくる評判は現時点ではぱっとしないが、実は今までの総理と比べて、国際舞台におけるコミュニケーション力やプレゼンス力は高いのではないかと筆者は考えている。
そこで今回は、COP26でのスピーチを軸に、岸田総理の国際舞台での話し方や装いについて、特筆すべき点や、改善したらもっと良いだろうという点を挙げてみよう。
「英語」は大きな武器になる
まずは、2019年のシンガポールサミットで、外相としてスピーチをした際の映像をご覧いただきたい。
あまり英語が喋れない人がある程度練習したとしても、このような自然な喋り方にはならないだろう。一度でもネイティブが周りにいる環境に身を置いたことのある人の喋り方だ。会話としての英語であっても、それなりに自分の言葉で話せるであろうことが見受けられる。
スピーチをする際の発音はもちろん、声や話すスピード、間合いも非常に落ち着いて聞きやすい。しかも、非常に自然だ。これは、幼少期の経験が軸になっているのかもしれない。自分とは違う人種・国籍の人々とコミュニケーションをとることの大変さを、よく知っているかのように感じるのだ。
一国の総理が、各国の首脳達との共通言語として使える「英語」を流暢に喋ってコミュニケーションをとったり、国際舞台でスピーチをしたりすることは、とても大きな存在表明になる。当然、世界からの共感も得やすくなるし、発言力も上がるだろう。
同じ自民党でも、河野太郎さん(同党広報本部長)は、英語が得意だということが世界でも知られている。しかし岸田総理に関しては、世界のトップリーダー達からいまだに言語部分の評価をされていない状態だ。