来年こそニューヨーク? かの地で完璧な48時間を過ごす方法

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もしかして来年、ニューヨークに2泊できるとしたら。この休日の幸運、あるいは出張の余白を最大に生かすか、はたまた後悔の塊に変えるかは、事前に入手する情報しだいだ。そして、前者にするための情報をどこに求めるかは、文字通り死活問題だ。

最適な答えの一つを、米国のフリークエント・エクセレントフライヤーでありトラベルライターが運営するブログ「godsavethepoints」に見つけた。


まばゆい光が溢れるこの都市では、探しているものはなんでも見つかる。夢が生まれる都市では、不可能なことなどない。

早朝、たとえば4時にファラフェル(潰したひよこ豆やそら豆に香辛料を混ぜ合わせ丸めて食用油で揚げた中東の料理)が食べたくなっても、夕方4時にフリック・コレクション(アッパー・イースト・サイドにある美術館)に行きたくなっても、以下さえ押さえておけば大丈夫。

街中で過ごす時間を最大限に活用し、ちょっとしたコーヒー休憩も上質なディナーも、最高の店を見つけることができる。


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1. アクセス


ニューヨークはどのような交通手段であれ、もっともたどり着きやすい都市のひとつだ。東海岸のほとんどの都市からはペンシルベニア駅に直通の列車が出ているし、国内便ならラガーディアを含む少なくとも3つの主要な空港、国際便ならJFKとニューアーク。選択肢は実に多彩だ。

ロウアー・マンハッタンに入るならおそらく、ニューアークが一番手っ取り早いだろう。一方、JFKはミッドタウンとブルックリンへのアクセス面では勝っている。


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一番早くて安価な選択肢として、JFKからエアトレインに乗る方法を紹介しよう。いったん街に入ってしまえば、「ウーバー」や「リフト」といった配車サービス、それに地下鉄やバスもいたるところにある。さらに今や、ブレード(ヘリコプターのシェアリングライドを申し込めるアプリ)を使ってたった125ドルでヘリコプターに乗れるという、最高にクールな選択肢まであるのだ。

2. 宿泊


ご想像のとおり、ニューヨークではホテルやエアビーアンドビーの部屋が選び放題だ。

利便性を重視するなら、ミッドタウン。アップタウンへもダウンタウンへも出やすい。「キンプトン・エヴェンティ」、「ホテル・ジラフ」、「アンダーズ・フィフス」などがその一例だ。圧倒的なシティビューや、賑やかなウェスト・ビレッジへのアクセスを重視したロケーションなら、おそらく「ザ・スタンダード」に勝る場所はなかなかないし、「ハイライン・ホテル」も捨てがたい。

セントラルパークで散歩を楽しみ、アートギャラリーを訪れ、アッパー・イーストサイドかアッパー・ウェストサイドの高級ダイニングで食事がしたいなら、「マンダリン・オリエンタル」以上の洗練は求められない。あるいは、かわいらしい「ホテル・エリーゼ」ならもう少し手が届きやすい。そこまで老舗でなくても良いなら、ウィリアムズバーグでは「マッカラン・ホテル」や「ワイス」、「ウィリアム・ヴェイル」からすばらしいビル群の風景が眺められる。

3. 朝食


ニューヨーク限定ではないかもしれないが、「ラデュレ(Laduree)」ソーホー店のカフェでとる朝食は、地元ニューヨーカーの間でも定番だ。もっと簡単に、たとえばペストリーをテイクアウトしたいというなら、街中、いたるところに店舗を構える人気のベーカリー「メゾンカイザー」がある。


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いわゆる「インスタ映え」する朝食なら、ダウンタウンに位置する「ドミニク・アンセル」がいい。ほとんど罪悪感を覚えるほどおいしいペストリーやケーキ、他にも様々なスイーツが驚くほど種類豊富に楽しめる。何かお祝いをしたい、またはアルコールとともに贅沢なブランチをというなら、「ナルシッサ」、「バール・バール」、「バターミルク・チャネル」、「ビュヴェット」がおすすめだ。

冒険したい気分で、日曜日のゴスペルをちょっと聴くのも大好きというなら、マーカス・サミュエルソンが展開する「レッド・ルースター」で絶対に忘れられない経験ができる。ついでに、生まれ変わったハーレムを見に行く絶好のきっかけにもなる。

美味しいコーヒーが飲みたいなら、「スタンプタウン・コーヒーロースターズ」、「エルク」、「サザン・クロス」、または「ブラック・フォックス」に行けば外すことはないだろう。チェルシー・マーケットの「ナインス・ストリート・エスプレッソ」でも珠玉の一杯が楽しめる。

4. 基本の観光スポット


ニューヨークが初めてなら、タイムズ・スクエアに、早朝もしくは日没ごろ、短時間だけ訪れてもいいだろう。だが、観終わったらすぐに立ち去るべきだ。そこにはニューヨーカーもいなければ本物のニューヨークピザも食べられない。ここは一度見たらもう用なしの場所で、訪ねるとしても、あとは劇場に行くときくらいで十分だ。

ニューヨークを象徴するような写真が撮りたい? 高層ビル群の写真なら、絶対に押さえておきたいのは、「エンパイア・ステート・ビル」よりロックフェラー・センターの「トップ・オブ・ザ・ロック」に行くべきだ。なぜか? そうすれば、エンパイア・ステート・ビルも一緒に撮影できるからだ。街全体を1枚の写真に収めるなら、「ホーボーケン」と「ウィリアムズバーグ」もいい選択肢だろう。

5. 初心者向けのニューヨーク地下鉄ガイド


食事も写真も済ませたなら、覚えておきたいことは、ニューヨークを地下鉄で動き回るのはいかに便利で簡単か、ということだ。ニューヨークの地下鉄は、初心者でも実に「直観的に」使える。乗り間違えて逆方向に乗り直したりしても気にする必要はないし、時間に余裕があるなら、歩いて戻ればいい。

アップタウンの地下鉄は通りの番号を昇順に進んでいくし、ダウンタウンは降順に進んでいく。89丁目にいて14丁目に行きたいなら、ダウンタウン方向の列車に乗ればいい、というわけだ。

ただ、実はニューヨークは徒歩で動き回るのが一番だ。とくに日中なら、そぞろ歩くのに、危ないことはない。

6. アート系の観光


ニューヨーク旅行でセントラルパークを訪れない旅行者は、怠慢としか言いようがない。公園についたら近くには「MoMA」や「フリック」、「国立自然史博物館」、「グッゲンハイム」など、多くの見ごたえあるアートギャラリーがある。美術館の「はしご」をする合間にセントラルパークに出たり入ったりするのも乙なものだ。


MoMAのエントランス(Shutterstock)

議論の余地はあるかもしれないが、ウォーホルの展示以外、ウェスト・ビレッジの「ホイットニー美術館」はパスしてもいいだろう。この美術館はアートを、美しいものとしてよりは、ある種「皮肉」として捉えているように思える。MoMAと比べると、真っ向からアートと向き合っていない印象に、どことなく得心がいかない旅行者は多いと思う。

ミッドタウンとアップタウンでの観光が終わったら、ダウンタウン方向の地下鉄に飛び乗って、「ワールド・トレードセンター」に向かおう。

ダウンタウンに再建された美しい駅「オキュラス」は圧倒的な印象だし、途方もなく力強い「9.11記念館」は、訪れたものに後悔をさせない。オキュラスに足を踏み入れたときに押し寄せる、あの抗い難いパッションやインスピレーションと同じものを感じられる場所は地球上にそうはない。それから、出たときに見上げる「ワンワールド・トレードセンター」の姿は実に壮観だ。

そのあとはもちろん、ブロードウェイで芝居を観てもいいのだ。

7. 1日目のプラン


さて、ここからは実際に1日ごとのタイムテーブルを考えていこう。

まず朝は、セントラルパークに行って気持ちの良い散歩とアートギャラリーでの鑑賞を楽しもう。晴れた日なら、それぞれに個性的な場所を隅々まで観ながら公園の中を東西南北に歩き回るだけで何時間でも過ごせる。ビートルズのファンやジョン・レノンの崇拝者なら、公園の西側にある「イマジンの碑」は絶対にはずせない。


ジョン・レノンに捧げられた、セントラルパークの一区画「ストロベリー・フィールズ」に設けられた「イマジンの碑」(Shutterstock)

次はメゾンカイザーかブション・ベーカリーでクロワッサンを勝って、MoMAに向かう。果てしなく並ぶショップやギャラリーを出たり入ったりしながらアップタウンで数時間過ごしたら、コロンバスかアムステルダム・アベニューで入りやすいオープンカフェを見つけて小休止。それからコロンバス・サークルへ。コロンバスからはAかC、またはE線に乗ればワールド・トレードセンターに行ける。

近くのバッテリー・パークとウォールストリートから見どころは満載で、前述のワンワールド・トレードセンターと、もちろん9.11記念館に着くまでに余裕で1時間は費やせる。

ニューヨークの熱い魂に触れる力強い午後を過ごしたあとは、立ち上がってウェストサイド沿いに歩き、14丁目から愛すべきハイラインに乗ろう。日常生活の心配事から解放された時間をしばらく過ごした後は、引き返してトップ・オブ・ザ・スタンダードでごほうびの一杯を。できればダウンタウンに面したテーブルに座って、ワンワールド・トレードセンターの向こうに沈む夕日を眺めたい。特別な一瞬になることは保証する。

ショッピング


買い物をするためだけにニューヨークに来るという人はたくさんいるし、その期待が裏切られることは決してない。ロウアー・イーストサイドやブルックリンの厳選された見事なヴィンテージが並ぶ店からマディソン・アベニューの堂々たる高級ブランド店まで、誰にでもぴったりの店が見つかるはずだ。

ブティックショッピングに関して、ニューヨークで奇抜で個性的な、ほかに類のない店を探しているなら、ロウアー・イーストサイドやソーホー、ウィリアムズバーグで迷子になるのがおすすめだ。ただぶらぶらして、人ごみが少なくなってきても特にマンハッタンなら怖がる必要はない。デパートやH&M、贅沢な品がお好みなら、ロウアー・ミッドタウンのどこからでも始めてマディソン・アベニューを上がって行けばいい。

センスのいいスカンジナビア系のデザインショップ、キュレーターが集めたアート作品やモデルがランウェイで着ているようなハイファッションに関心があるなら、ウェスト・ビレッジ、グリニッチ・ビレッジ、それにミートパッキング地区に行くべきだ。ホームレスに見えるようにデザインされているが実際の値札は目玉が飛び出るような商品がいくらでも見つけられる。グリニッチ・アベニューを下って行けば、どれほど重症なファッションの悩みも解決できる。とにかく、ニューヨークファッションのメッカなのだ。

最高のディナー


世界的に有名なファラフェルのフードトラックから最高級のダイニングまで、ニューヨークにはなんでもある。安くて賑やかな店がいいなら、ガンズヴォート・マーケットがクールな環境で多種多様な店舗を備えていて、気に入る店が必ず見つかるはずだ。チェルシー・マーケットに似ているが、それほど商業化されていないのが特徴だ。

財布が許す範囲で極上のイタリアンを探しているなら、ニューヨークの象徴とも言えるジョナサン・ワックスマンのJAMSで損をすることは絶対にない。昔ながらの大きなニューヨークステーキが食べたければ、ミッドタウンのキーンズ・ステーキハウスかブルックリンのピーター・ルーガーが本物を食べられる最善の選択肢2つだろう。


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高級寿司の愛好者にとって、スシ・ナカザワは食べただけで破産しかねないニューヨークの伝説的名店だが、二重抵当をかけなければならないほどではない。もっと身近な、お手頃価格の美味しいアジア料理なら、アンクル・ブーンズが一流のタイ料理を提供している。インド料理ならバブ・ジがインドの屋台料理を楽しませてくれるし、インディアン・アクセントはかなり洗練された料理を提供してくれる。

ニューヨークで中華料理なら、老舗のシュン・リーが洗練された料理を提供しているが、もっと日常的な選択肢はいくらでもある。

そして最後に、ニューヨークには似合わないと思うかもしれないが、最高のバーベキュー(とバーボン)がどこでも食べられる。ブルックリンのフェット・ソウが一例だ。まだ決められない? それなら、見やすい地図に展開できる編集部お気に入りのリストをチェックしてほしい。

「夕刻の一杯」が楽しめる最高のバー


一杯飲むならいくらでも方法はあって、ニューヨークはそのすべてが実行できる。真のカクテル革命を起こすロウアー・マンハッタンのアタボーイからプラザ・ホテルの象徴的なポロ・バーまで、失敗のしようがないのだ。


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カクテルが好物なら、ミスター・パラダイス、メイス、エンプロイーズ・オンリー、ノマド・バー、トップ・オブ・ザ・スタンダード、バー・ダウンステアーズ、デッド・ラビットに行けば失敗しない。ワインが好きなら、ラ・コンパニー・デ・ヴァン・シュルナチュレルでは世界最高クラスのワインを提供している。そう、もちろんフランス人の店だ。ビールとスポーツバーがお気に入りなら、そこらへんの角を曲がれば必ず一軒はあるはずだ。

8. 2日目のプラン


ショッピングとカルチャー欲は、とりあえず1日目で満たされた前提で、2日目は地元っ子さながらにニューヨークを楽しんでみよう。ダウンタウンのブルックリン、ダンボ、ウィリアムズバーグあたりまで地下鉄に乗って行って、中心部を少しだけ離れた暮らしを見てみるべきだ。


ダウンタウン、ウィリアムズバーグ(Getty Images)

マンハッタンを取り囲むこれらの地域は都会生活からリフレッシュさせてくれ、映画そのままの光景が広がっている。どこを見ても、いずれかの映画で使われた場所が広がっているのだ。個性的な地元の匂いが漂うこの地域では食事も買い物も、ただ見て回るだけでも最高の場所がいくらでもある。ひとしきり歩いたら、マンハッタンに戻るときは橋を渡るのがマストだ。

気持ちのいい散歩なら、ブルックリン橋もウィリアムズバーグ橋もすばらしい安全な歩道が整備されていて、ニューヨークのクールな場所に連れて行ってくれる。歩き回り、街角でおいしいピザを食べ、最高のコーヒーを飲んで、街を吸収しよう。ニューヨークでの最終日を過ごすならただぶらぶらと散歩して、歩くにつれて通りの雰囲気が変化していくのを眺める以上に楽しいことはない。道を間違えたと思ったらいつでもウーバーが呼べるし、シェアサイクルのシティ・バイクもいたるところにある。

時間があるなら、完璧な旅のリラックスできる締めくくりに、郊外のブライアント・パークやほかのカジュアルな広場へ行ってみるのもいい。最後に、空港には時間の余裕をたっぷり持って向かうのを忘れずに。


──変異株、第6波予想など、まだまだ新型コロナウイルス関連の先行きが不透明ななか、ニューヨークはおろか海外旅行や出張などまだ……。という印象もあるのが現状かもしれない。そんな年末年始はビリー・ジョエルのあの名曲、「ニューヨークの想い(原題:New York State of Mind)」を聞いて、彼方の大陸とそこに住む友人たち、かつて訪れた風景の数々に思いを馳せるのもいいだろう。

もしかすると、「俺はハドソン川沿いを/グレイハウンドで北上してる/俺の心はニューヨークで溢れてるんだ」の歌詞が意外にも、今住んでいる街や故郷への気持ちを思い出させるかもしれないけれど。



※本記事は、https://www.godsavethepoints.com「48 Perfect Hours In New York City: Best Hotels, Sights, Restaurants & More」全文の翻訳転載を元にしたものである。

翻訳=松本裕/株式会社トランネット 編集=石井節子

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