アブローのインスタグラムに掲載された声明によると、41歳で亡くなった彼は心臓血管肉腫と呼ばれる稀ながんにかかり、2年間の闘病の後に死去した。彼の健康問題は、一般には知られていなかった。
LVMHの会長兼CEOであるベルナール・アルノーは声明で、「アブローは、天才的なデザイナーで先見の明があるだけでなく、美しい魂と偉大な知恵を持つ人物だった」と述べた。
オフ-ホワイトの親会社ニューガーズ・グループのダヴィデ・ドゥ・ジーリオ会長兼CEOと、ブランドのアンドレア・グリッリCEOは、「彼を失った思いを表現するための言葉が見つからない」と共同声明で述べた。
オフ-ホワイト 21/22年秋冬コレクションのショーにて。歌手のM.I.Aと(Getty Images)
アブローは、2012年に立ち上げたミラノのストリートウェアブランド「オフ-ホワイト」の成功を経て、2018年にルイ・ヴィトンに参加した。彼は、約200年の歴史を持つルイ・ヴィトンにとって初めてのアフリカ系アメリカ人のデザイナーだった。
オフ-ホワイトは、ナイキやイケアとのコラボレーションで知られ、アブローはこのブランドを通じて、モデルのヘイリー・ビーバーのウェディングドレスをデザインした。
アブロー(右)とウェスト。ルイ・ヴィトン メンズ 2019年春夏コレクションのショーにて(Getty Images)
ガーナからの移民の両親のもとにシカゴで生まれたアブローは、同じシカゴ出身のラッパーのカニエ・ウェストと共に、フェンディでインターンとして働いていた。彼は、ウエストのアルバム「Watch The Throne」のジャケットデザインとアートディレクターを務め、「Yeezus」や「My Beautiful Dark Twisted Fantasy」のカバーアートにも影響を与えた。
ジャンルを超えて活躍した彼は、音楽活動や絵画・彫刻の制作も手がけており、そのキャリアを総括するエキシビジョン「Figures Of Speech」が現在、米国の美術館で開催されている。
(c)Getty Images
2009年にShannon Sundbergと結婚したアブローは、GreyとLoweという2人の子供の父親でもある。