変異株と同じ名前の「暗号通貨オミクロン」が500%の急上昇

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急速に拡大する新型コロナウイルスの変異株「オミクロン」は、株式市場だけでなく暗号通貨市場にも打撃を与え、トレーダーたちの間に動揺が広がっている。

ビットコインの価格は11月26日に5%以上下落し、10日につけた史上最高値6万9000ドルからの下落率は20%に達している。

そんな中、偶然にも変異株と全く同じオミクロンという名前を持つ小規模な暗号通貨「OMIC」の価格が突然高騰し、28日までの数日間で約500%の上昇となっている。この動きは、ネットフリックスの人気ドラマ「イカゲーム」にヒントを得て発行された、詐欺的な暗号通貨「イカゲームコイン」の急騰と暴落を思い起こさせる。

価格の変動が激しい暗号通貨市場では、ビットコインのような主流のコインであっても10%以上の値動きは珍しいものではなく、規模が小さなマイナーなコインが、急上昇した後に暴落するケースも数多い。イカゲームコインの場合は、短期間で数千%もの異常な高騰を示した後に、ほとんどゼロにまで暴落した。

オミクロンのOMICコインの価格は、CoinGeckoのデータによると、ここ数日で約50ドルから約400ドルまで急騰した。しかし、このコインはあまりにも規模が小さいが故に十分なデータが取得できす、時価総額が算出不可能とされている。

今から数週間前にローンチされたオミクロンは、イーサリアムのスケーリング技術Arbitrumの上に構築されたコインだ。このコインは、SUSHI(寿司)と呼ばれる独自トークンを発行する分散型取引所(DEX)のSushiSwapのみで取引されている。

分散型取引所では、ユーザー同士が直接取引を行える点がメリットだが、ユーザー自身がウォレットを管理するため、ハッカーの標的にされて資金を盗まれるトラブルがしばしば発生している。

一方で、この分野の専門家たちは、新たな変異株が市場を崩壊させたにもかかわらず、おおむね明るい見通しを持っているようだ。取引所Bequantのリサーチ部門のMartha Reyesは、筆者の取材に「仮にロックダウンが発生した場合、それはさらなるヘリコプターマネーにつながり、最終的にはデジタル資産に利益をもたらすことになる」と述べた。

しかし、ここ数日の暗号通貨市場全体の下落は、ビットコインの値動きが伝統的な株式市場とは無関係であることに慣れている一部の関係者たちをも驚かせている。ブロックチェーン企業Allnodesの事業開発責任者のTally Greenbergによると「暗号通貨市場は、ほとんどの場合、伝統的な金融市場とは相関関係を持たない」という。

「しかし、暗号通貨市場でさえも世界の出来事の影響を受ける場合がある。新たな変異株のニュースは、世界に動揺を与えて大小のコインの価格を大きく引き下げ、あらゆる国の株式や債券が急落した」と、Greenbergはコメントした。

編集=上田裕資

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