株式市場は「ドットコムバブル崩壊前に酷似」、バンカメが警告

Spencer Platt/Getty Images

バンク・オブ・アメリカによると、現在の株式市場は過剰な投機とバリュエーションの高まりの点で、2000年のドットコムバブルの時代と非常によく似た状況にあるという。そのため、2022年の市場はマイナスの年になる見通しという。

バンカメの米国株・クオンツストラテジー部門責任者のサビタ・スブラマニアンが率いるチームは、「現在と1999/2000年の間には無視し難いほどの類似点がある」と先日の投資家向けメモで述べた。

現在の市場環境は、1990年代後半にインターネットバブルが崩壊し、2001年からの弱気相場が始まった直前の状況に酷似しているという。

バンカメは、現在の市場の兆候のいくつかが、2001年よりも間違いなく悪いと指摘し、投資家が「通常では考えられないことを受け入れる傾向」が強まっている中で、投機の兆候が明確になっていると付け加えた。

実質金利のマイナスやインフレの進行、IPOブームの加熱、流動性リスクなど、今日の市場には懸念すべき兆候が次々と現れていることから、来年の市場はネガティブな方向に向かうとバンカメは述べている。

バンカメは、2022年末のS&P500種指数の目標値を4600ドルに設定したが、これは11月22日の終値の約4682ドルを2%下回る水準だ。しかし、他の主要銀行のアナリストの、S&P 500の来年の見通しについての意見は分かれている。

モルガン・スタンレーは、バンカメよりもさらに低い目標を設定したが、JPモルガンやゴールドマン・サックス、ウェルズ・ファーゴらは、2022年に株価がわずかに上昇すると予想している。

バンカメは、現在の市場が直面しているいくつかの課題が、1990年代後半のハイテクバブルよりも悪化する可能性があると述べている。

FRB(米連邦準備制度理事会)は、パンデミック前以来の利上げに踏み切り、2022年に少なくとも数回の利上げが行われる見通しだが、これらの利上げは、すでにバリュエーションが非常に高くなっている割高な市場で行われることになる。さらに、市場は1990年代よりも成長に固執しており、ドットコムバブルの頃よりも多くの赤字の企業がIPOを果たしたことが、その状況に拍車をかけている。

2020年3月に底を打った株式市場は、前例のない財政出動に後押しされて急速に回復したが、2022年にはインフレや新型コロナウイルスの変異株の感染の再拡大、サプライチェーン問題などの様々な不確定要素が懸念されている。

編集=上田裕資

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