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2021.11.27 19:00

僕を育てたテニスと音楽と大人たち

「Creema」創業者の丸林耕太郎

「Creema」創業者の丸林耕太郎

「世界にひとつ」のオリジナル作品が売買できるハンドメイドマーケットプレイス「Creema」。創業者の丸林耕太郎に起業に至った問いと答えや、創造の原点について聞いた。
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「世の中で最大多数の人を幸せにできる仕事は何か?」──学生時代に考え続けてきた問いは、22歳のとき、「会社を起こし、さまざまな領域で、愛のある事業を展開する」という答えに帰結します。

2009年、僕は仲間と起業し、クリエイターと生活者がオンラインで直接作品を売買できるハンドメイドマーケットプレイス「Creema」をリリースしました。PCやスマートフォンでのECに続いて、イベントや実店舗も展開し、おかげさまで登録クリエイター約22万人、作品数1100万点以上というアジア最大の市場へと成長を続けています。

振り返れば、僕の人生はテニス、音楽、3年と決めた会社員時代、経営という4つに、常に全力投球でした(経営は続行中)。
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テニスは6歳で始めて、中学3年生のときには神奈川県で三冠(シングルス、ダブルス、団体戦)、関東では二冠を取りました。テニスというスポーツ本来の楽しさもさることながら、そこまで頑張れたのは小2のときにテニススクールのヘッドコーチから「君、才能あるよ。選手を目指してみないか」と言われたから。親以外から初めて褒められた経験であり、厳しくも愛のある英才教育により強く育てていただきました。

このように大人が子どものためによい環境をつくることで、子の自己肯定感は高くなり、「やればできる」という自信、「期待に応えたい!」と奮闘する力を養えるようになります。親とコーチには本当に感謝しかありません。

実はこのテニスの経験が、次の音楽につながります。中3のとき神奈川県大会の決勝戦で、ギャラリーに盛り上がってもらえるようにと、わざと変則的なプレーをしたりして……目的が勝利よりもエンターテインメント性になってしまった自分に気がつき、「だったらもっと大勢の人をハッピーにできるものに」と、高校の入学早々にDJをスタート。大学時代はプロとしてさまざまな音楽活動に取り組みました。

いま一日でいちばん大事にしている時間は、帰宅後の夜に自己としっかりと向き合って「未来を考える」思考タイムです。経営者としてゼロイチで新しいものを生み出していくには、人生を賭けるほどの本気の志と、ちょっとぶっ飛んだ頭が必要。僕の場合、音のない場所や時間帯に3時間ほどひたすら考え、脳をブレイクスルーさせます。使うのはペンとノートで、最近感動したこと、腹が立ったこと、生活のなかで気になったことを思うがままに書き出していきます。

僕にとって創造の原点は「愛と怒り」。特にいま自分が何に立腹しているか、何を許せないかを認識し、それをどのように変えていけば人は幸福になるのかを深掘りしていくと、事業のアイデアにまでつながることも多いです。

実はCreemaの前、残念ながら半年で撤退した事業があります。北欧の生活様式を参考にした多世代型コミュニティマンション事業なのですが、これも久しぶりに会った祖母が僕の顔を見て涙を流し、「人生の終わりに寂しくないハッピーな場所をつくれないだろうか?」と考えたことがきっかけでした。このテーマは今後の日本に必ず必要となるし、いつかは再チャレンジしたいです。
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構成=堀 香織 写真=yOU(河崎夕子)

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