エアアジア・エクスプレス(AirAsia Xpress)と呼ばれるこのサービスは、11月23日の発表によると、パンデミックの打撃を受けた同社の収益を補うための最新の試みだ。このサービスは、まずマレーシアの首都のクアラルンプールと人口密度の高いクランバレー周辺から始動し、他の地域にも拡大するという。
エアアジア・エクスプレスは、数百万人が利用する同社のスーパーアプリ「airasia: Travel & Delivery」から利用可能なサービスで、1時間以内に荷物を受け取れる「即時配達」と、6時間以内に荷物を受け取れる「当日配達」を提供する。エアアジアは、インドネシアのGoToやシンガポールのGrab、Sea Groupといった東南アジアのハイテク企業に対抗するスーパーアプリの構築に向けて、既存のフードデリバリーや配車サービスを補完しようとしている。
「我々は、パンデミック後の復興に向けて、効率的で安価な配送サービスが重要な役割を果たすと考えている」と、エアアジアのEコマースデリバリー部門の代表のLim Ben-Jieは声明で述べた。
東南アジアは世界で最も急速に成長している地域のひとつであり、グーグルやテマセク、ベイン・アンド・カンパニーらが共同で実施した調査によると、今年のデジタルエコノミーのGMV(流通総額)は、前年比49%増の1740億ドルに達する見通しだ。さらに、2025年までに3630億ドルに成長し、2030年には1兆ドルを超えると予測されている。
パンデミックを受けて旅客や貨物の輸送量が減少する中で、エアアジアは事業の軸足をデジタルに移行させており、2025年までにデジタル部門の売上を、グループ全体の50%にまで拡大することを目指している。
エアアジアは23日、第3四半期の売上が前年同期比37%減の2億9600万リンギ(約81億円)に減少したと報告した。クアラルンプールの調査会社ケナンガ・リサーチのアナリストは、同社の通期業績予想を17%引き下げ、24億1000万リンギの純損失を予想している。
事業の多角化を目指す
エアアジア・グループのCEOであるフェルナンデスは23日、「当社は、フライトの休止期間を利用して新たな収益源を開拓し、旅行やライフスタイル事業のポートフォリオを持つ投資持株会社に変化した」と述べた。さらに、エアアジアのスーパーアプリが、物流部門のテレポートとフィンテック部門のビッグペイ(BigPay)とともに、主要な市場で人気を博し、「強い存在感を示している」と付け加えた。
フェルナンデスと彼のビジネスパートナーであるカマルディン・メラヌンは、2001年にエアアジアを買収し、格安航空ビジネスを構築した。フェルナンデスは、フォーブスの今年の「マレーシアの富豪50人」のランキングからは外れたが、ホスピタリティや保険、教育関連の事業にも関心を示している。