新興デジタルメディアの米パックニュース(Puck News)が他社に先駆けて報じたところによると、今回のベゾスからの寄付は、オバマ財団が一度に受け取る寄付としては、過去最高額。また、財団の関係者は、ベゾスがアマゾン株の譲渡ではなく、現金で寄付することを明かしている。
ベゾスは今回の寄付について、公民権運動の象徴的存在、故ジョン・ルイス下院議員をたたえて行うものだと説明。オバマ財団に対して、現在イリノイ州シカゴのサウスサイドに建設中の「オバマ大統領センター」の広場の名称を、「ジョン・ルイス・プラザ」とすることを要請している。
同財団はベゾスからの寄付を、米国と世界各国で新たなリーダーたちを育成するプログラム、「ガールズ・オポチュニティ・アライアンス」や「マイ・ブラザーズ・キーパー」「グローバル・リーダーズ・プログラム」などの規模の拡大に充てる考えだ。
一方、同日にはニューヨーク市ブルックリン区にあるニューヨーク大学ランゴーン医療センターも、ベゾスの家族から個人的に(一家が運営している財団からではなく)、1億6600万ドルの寄付を受けたことを明らかにした。
その「家族」にジェフが含まれているかは不明だが、同医療センターが発表したプレスリリースには、ジェフの父マイクと母ジャクリンのコメントが掲載されている。同センターはこの寄付を、「健康の社会的決定要因(SDH)」と「健康格差」の問題への対応に充てる計画だという。
退任後は寄付に積極的
ベゾスは7月にアマゾンのCEOを退いて以降、多額の寄付で注目を集めている。11月に17日には、2018年に当時の妻マッケンジー・スコットと20億ドルで立ち上げた「ベゾス・デイワン・ファンド」を通じて、ホームレスの家庭を支援する32団体に総額9600万ドルを寄付すると公表したばかりだ。
自ら創設した宇宙企業ブルーオリジンの有人飛行に参加した7月下旬には、世界各地の食料難の問題に取り組んできたシェフのホセ・アンドレスと、政治コメンテーターのバン・ジョーンズにそれぞれ1億ドルを贈ることを明らかにした。また、スミソニアン国立航空宇宙博物館に2億ドルを寄付することも約束している。
証券取引委員会に提出された書類によると、ベゾスは11月中だけでも、保有していたアマゾン株のうち3万9579株(およそ1億4400万ドル相当)を、非営利団体に譲渡している(アマゾンの広報担当者は、具体的な団体名の公表を避けている)。
ただ、フォーブスの推計では、ベゾスがこれまでに寄付した金額は、保有する資産総額の1%未満。保有する資産の過半を生前、または死後に慈善活動に寄付することを約束する「ギビング・プレッジ」にも、署名していない。
フォーブスは11月25日正午(日本標準時)の時点で、ベゾスの保有資産を約2050億ドルと推定。この時点では、富豪ランキング1位のテスラCEO、イーロン・マスクの資産は約2910億ドルと見積もっており、2人の資産額の差は、約860億ドルとなっている。