仮に配送用車両が1台12万5000ドルで売れたとすると、この予約注文によって生まれる収益は125億ドルに達する。しかしながら、この合意事項は、ロジスティクスによる配送車の開発、リビアン以外の企業との提携、他社からの配送車の購入を制限するものではない。また、最低発注量や最低購入数量の要件なども設けられていない。加えて、このSEC提出書類には、「予測、発注計画、購入注文は、通知の上で変更や取消を可能とする」との記載がある。
2. アマゾンの配送車以外にも、5万5000台の予約を獲得
アマゾンからの10万台に上る予約注文のほかにも、リビアンは、計5万5400台の予約注文を獲得したことを明らかにしている。これは、同社が開発する完全電動式のピックアップトラック「R1T」と、7人乗り電動SUV「R1S」に対する注文だ。
「カー&ドライバー」誌は、これら2モデルの販売価格帯を、7万ドルから7万5000ドル前後と予想している。これらの予約注文は、(大量のキャンセルが出ない限り)40億ドルの収益を生むはずだ。
3. フォードも、リビアンの株式を保有
フォードは、リビアンのシリーズBおよびDラウンドに参加し、株式と引き換えに合計8億2000万ドルを出資した。さらに、リビアンの転換社債を4億1500万ドル分、購入した。当時購入した株式は、現在の価値が130億ドルに達している。IPO後のフォードの持分は、株数換算で11.4%、議決権換算では10.5%に達する。
これほど多くの株式を持っていることから、フォードが近い将来、いつであれ保有株を売るとしたら、リビアン株価の暴落につながる可能性がある。とはいえ、リビアンとフォードは11月19日、EVの共同開発計画を取りやめると正式に発表した。
フォードが近いうちにリビアンの株式を売却することはないと見られるが、フォードの持分がリビアンの事業展開の足を引っ張る可能性はある。とりわけフォードが、保有する株式の含み益を現金化したいと考えているという憶測が流れれば、その可能性は強まるだろう。