ビジネス

2021.11.28

TikTokが先導するライブ配信ショッピング、世界的に競争激化へ

Ascannio / Shutterstock.com


活気づくアプリ内ショッピングに乗り遅れてはならない


以前から、「eコマースの未来を見通したい小売業者は、東洋に目を向ける必要がある」と言われてきた。中国は、「ソーシャルメディア・プラットフォームを通じた小売」の最前線にいる。そして、アプリ内のライブ配信ショッピングは、(テレビショッピングチャンネルの)QVCのような、カメラに向かって物を売り込む手法に関するあらゆる固定観念に挑んでいる。

ライブ配信ショッピングとは、ソーシャルメディア・プラットフォームでライブ配信をし、そこで紹介する商品がすぐに購入できる小売形態だ。視聴しているオーディエンスは、チャット機能やリアクションボタンを使って参加できるようになっている。

中国では、そういったライブコマースが小売業界を刷新し、5年と経たずに、主要な販売チャネルとしての位置を確立した。マッキンゼー・デジタルが2020年に実施した調査によると、中国では消費者の3分の2が、過去1年以内にライブ配信を通じて商品を購入したことがあると回答した。西洋諸国の小売業者は全般的に、ライブコマースの推進に関して中国に出遅れているが、他に先駆けて導入を進めている企業もあり、かなりの売上を獲得し始めている。

ライブコマースが西洋にもやってくる


eコマース大手ショッピファイも、こうした流れに追随している。同社のプロダクトディレクターを務めるアミール・カバラ(Amir Kabbara)は、メールで次のように述べた。「東洋に目を向けると、消費者もブランドも、eコマースで実験してみようという意識が強いのがわかる。西洋ではなかなか導入が進んでいないが、当社ショッピファイは、インターネット上のeコマースインフラを提供している企業として、果たすべき役目があると考えている。それは、実験的コマースに挑戦する方向へと世界を導くリーダーとしての役目と、当社の販売業者に対して、消費者がどこにいても、創造的かつシームレスな方法で接触できる手段を提供する役目だ」

ショッピファイは、Tiktokと提携することで、TikTokおよびライブ配信ショッピング全般に信頼を寄せている姿勢を示している。カバラはこの提携について次のように述べた。「当社は2021年8月にTikTokと提携し、eコマースプラットフォームとして初めて、TikTokを利用したショッピングを導入した。これにより、販売業者とクリエイターは、TikTok For Businessのプロフィルと「For You」ページに、アプリ内ショッピング機能を直接追加できるようになる」

ライブ配信ショッピングについては、西洋は中国と比べると劣勢に立たされているように思えるかもしれないが、西洋でも導入の動きは存在する。「これからは、『テレビCMでおなじみの』ではなく『TikTokでおなじみの』と言われるようになる」と、オープン・インフルエンスのダハーンは話す。

さらにダハーンは、「ライブ配信ショッピングは、これまでにない手法であり、ごく初期の段階にある。消費者は、商品を購入する場としてのソーシャルコマ―スに慣れ親しもうとしているところだ」と述べている。「とは言うものの、まったく新たな形態であるため、現時点では競合他社が少ない。ただし、あと数年で競争は激しくなっていくだろう。ソーシャルプラットフォームでは、他に先駆けて動いたり導入したりしたときの見返りが非常に大きい」

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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