第1回は、「誰もがビジョンを実践できる世界をつくる」ことを命題に掲げる、NEWPEACE CEO / クリエイティブディレクター高木新平氏が起業に至る際、重要な役割を演じた妻に話を聞いた。
高木氏は、ネットでの選挙運動の解禁を実現した「One Voice Campaign」やシェアリングエコノミー協会・サミットの立ち上げ、人生100年時代の政策化、“全国住み放題”を標榜し多拠点居住を推進する「ADDress」といった様々な先進企業のビジョン開発など、次世代のコンセプトを世に提案し続けてきた人物だ。
尽きぬアイデアと表現力で世の中を瞠目させてきた高木氏が、変化の激しい新たな市場を開拓する上でベースキャンプともしているのが、「家庭」だ。3児の父でもある彼は、そこでどのように日々「イノベーションの種」を醸成しているのか。
──実は高木氏は、ツイッターで「毎日の家事・子育てのなかで、妻が息するように吐き出すパンチライン(決めぜりふ)」を140字にまとめて発信、およそ4万人のフォロワー数を誇る人気アカウント「妻のパンチライン」の企画運営者でもある。妻の発言が反響を呼び、この度、書籍『妻のパンチライン』を刊行したばかりだ。
以下はそのパンチラインの張本人であり高木氏をある意味でプロデュースしている夫人による、「高木新平が形成されるまで」の物語、「今日までの様々な挑戦をしてきた夫の軌跡」、そして、夫妻が実践する「Co-Founder(共同創業)婚」の実態や家庭経営の戦略についての証言だ。
出会いは、起業家、家入一真氏の都知事選出馬時
夫である高木新平との出会いは、2014年の東京都知事選挙のときでした。
「連続起業家」の家入一真さんが知事選に出馬されることになり、もともと仕事で接点があったグラフィックデザイナーの草彅洋平さんが選挙ポスターなどのデザインで参画されているのをフェイスブックで知りました。
高木新平氏妻はこの度、SNSで反響を呼んだ妻の発言をまとめた書籍『妻のパンチライン』を幻冬舎から刊行した
自分自身もイベントで100人以上のボランティアの方をマネジメントした経験があったので、これは応援したい、と思って、選挙事務所に差し入れを持っていったんです。ところが草彅さんは不在で、当時選挙ブレーンとして全体を統括していた高木新平が出てきたのです。
「あの、これを……」と言って持参したお菓子を渡したら、その中身も知らなかった彼が、「すみません、選挙の贈賄罪にあたる金品などが入っていたら困るので、念のため」と言ってチェックしたんです。それを待っていた3分間が最初の出会いでした。
夫の第一印象は、雑然とした事務所内部のムードともあいまって、そこで寝泊まりしているような巣ごもりオーラがめちゃくちゃ出ている感じでした。何日も徹夜で作業していたらしく、頭なんかボサボサで。それ以外は取り立てて何の印象も受けませんでしたね(笑)。