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2021.12.01 08:30

宗教の行動様式とグローバルジャイアントが日本で生まれない理由

米SF市街地のGoogle近くにある聖パトリック教会 photo by Kit Leong / Shutterstock.com

本連載の前回「ビジネスプラットフォームに活路? ならば肝に銘じる4つのポイント」は、日本のビジネスパーソンがそれぞれ異なる解釈で濫用気味に使いがちな「プラットフォーム」という言葉を、成長著しいプラットフォーマー自身はどのような意味で捉えているのか、その定義を紹介しました。

今回は巨大プラットフォームを運営するグローバルジャイアントは、なぜ大半が米国発なのか。また、彼らに比類するような企業やサービスがなぜ日本から生まれていないのか。よく言われるこの問題を、これまでと異なったアプローチで解明したいと思います。

デジタル化が完全競争市場を加速


本連載の第1回「戦争論もドラッカーも古くない。デジタル時代こそ古典ビジネス論へ」でご紹介した通り、市場における理想的な競争状態を示す「完全競争」という概念は、近代経済学における仮定の姿、学術上のモデルに過ぎませんでした。

しかし2000年代以降、状況が一変します。

完全競争を構成する5つの要件(詳しくは第1回の解説をご参照ください)のうち、「財の同質性」「完全情報」「完全取引」が、デジタルテクノロジーやインターネットの普及とともに急速に社会に実装されはじめたからです。

商品が積まれた倉庫
photo by Shutterstock.com

日々の消費行動を見てもその変化は明らかです。つい20年ほど前まで、ほしい商品についての情報を得る手だても販売チャネルも限られ、消費者は数少ない選択肢のなかから選ぶほかありませんでした。しかし今では手もとにスマホさえあれば、ほしい商品の相場や底値を知り、最も安い価格で販売しているECサイトから買うことが簡単にできるようになっています。

デジタルテクノロジーの急激な発展は、資本主義の完成を阻む障壁やボトルネックの多くを一気に解消。完全競争市場を成立させる流れを加速させていきます。

こうした状況に歩調を合わせるように台頭したのが、1990年代後半から続々と登場したネットベンチャーやテクノロジー・スタートアップの一群です。

資本主義市場が、多様な生物種が爆発的に生まれた先カンブリア時代のような様相を呈する中、激しい生存競争生き残った一握りの企業から、やがてユニコーンが生まれ、そのいくつかがビッグ・テック、グローバルジャイアントへと成長していくことになります。

では、成功を手中に収めた企業と「大量絶滅」を生き残れなかった企業の違いはどこにあるのでしょうか。むろん、企業経営やマーケティングの巧拙、技術力の高低、市場参入のタイミングなど、いくつもの理由が考えられます。しかし筆者は、デジタルテクノロジーが加速させた完全競争市場の原理をいち早く理解し、結果的にもっとも適した戦略を躊躇なく実行できたかどうかが、大きな分水嶺になったのではないかと見ています。
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文=中村健太郎(アクセンチュア)

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