大谷は今シーズン、二刀流としてフル稼働。ホームラン争いに加わり、46本塁打100打点を残したかと思えば、投げては9勝156奪三振と、多くのベースボールファンの心を掴む結果を残した。専門誌「ベースボール・アメリカ」の年間最優秀選手、選手間投票による年間最優秀選手「プレーヤー・オブ・ザ・イヤー」、MLBにおける歴史的偉業に贈られる「コミッショナー特別表彰」などを獲得し、つい先日、日本人選手としては20年ぶりに最優秀選手(MVP)に選出された。
大谷翔平は「礼儀正しい」
選手としての活躍はもちろんだが、大谷が評価される理由には、「礼儀正しさ」があげられる。今回の「国民栄誉賞辞退」に米国から寄せられている声にも、「実に謙虚」「すばらしく一流の行動だ」などがある。
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先立ってシーズン終盤の9月26日。こんなことがあった。
マウンドに上がった大谷は、左打者に対して約156kmのボールを投げ込んだ。画面に表示されるストライクゾーンの枠内に入ったものの、球審の判定はボール。キャッチャーも違和感があったようで、球審を振り返る仕草をみせた。
しかし、大谷は大袈裟に抗議することもなく、何かを察したのか、一つ頷き、落ち着いた様子で次の投球の準備に入ったのだ。「ピッチングニンジャ」の愛称で人気の投球分析家ロブ・フリードマン氏は、「ショウヘイは礼儀正しい」とツイッターで投稿。ベースボールファンから多くの支持を得た。二刀流として結果にこだわりたかったシーズンではあるが、小さなミスに気を取られず、目の前のことに冷静に向き合うことで、大きな成果を残したと言える。
一流こそ、不機嫌にならずに結果を出す
一方、社会を見渡して見ると、残念ながら大谷の「礼儀」とは真逆で、「無礼」なふるまいをする大人も後をたたない。そして、その悪影響は小さくなく、例えば職場に他人に嫌な思いをさせる無礼な人がいるだけで、「48%の人が、仕事にかける労力を意図的に減らしている」という調査結果もある。
礼儀正しい所作で仕事に携わる人もいれば、そうでない人がいるのも世の常。しかしながら、この課題を無視し続けているようでは、安定した成長曲線が描けないのも、また事実だ。