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2021.11.24

大谷翔平の「辞退」を称賛 米国人が好む「ビジネス礼節」とは

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2019年に刊行された書籍『Think CIVILITY「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である』は、職場での「無礼さ」が与える影響、「ビジネス礼節」「礼節の科学」について、20年間にわたる研究の集大成として出されたもので、全米では大いに話題となった。

ここでは一流のエリートこそ、不機嫌にならず、また、礼節を欠くことなく結果を残すエピソードが紹介されている。日本でも様々なハラスメントが訴えられるようになっているが、まだ氷山の一角。表に出ないものの礼儀を欠く人の存在が、職場に大きなストレスを与え、その結果パフォーマンス低下を招いている可能性がある。

職場のストレスが原因のコストは「1年に5000億ドル」


最近の科学的研究によって明らかにされたなかでも、会社経営者や管理職にとって気になるのは、無礼な人が「会社に損害をもたらす」という結果だろう。無礼な人が周囲に与えるストレスに対して、会社側は多くのお金を負担していることを認識しておく必要がある。

例えば職場のストレスにより、アメリカ経済にかかるコストは年間5000億ドル(米心理学会が試算)。仕事上のストレスが原因で毎年、55000億日もの就業日が失われ、職場で起こる事故の60〜80%が、ストレスが原因となる。通院の約80%がストレスに関係しているとも言われる。アメリカでの研究結果であることを差し引いても、驚くような大きな数字だ。

『Think CIVILITY「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である』の著者、クリスティーン・ポラスはジョージタウン大学の准教授で、グーグル、ピクサー、世界銀行などで講演やコンサルティング活動を行っている。過去20年において様々な調査を実施している彼女が、17業界800人の管理職、従業員を対象にした研究では、「無礼な態度を取られている」人への、以下のような影響の質と量が見えてきた。

・48%の人が、仕事にかける労力を意図的に減らしている。
・47%の人が、仕事にかける時間を意図的に減らしている。
・38%の人が、仕事の質を意図的に下げている。
・80%の人が、無礼な態度を気に病んでしまい、そのせいで仕事に使うべき時間を奪われている。
(書籍『Think CIVILITY』より)
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文=上沼祐樹 編集=石井節子

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