デジタル変革の旗手たちが語る、大企業への要件とは

撮影:伊藤 淳

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、まさに企業革命。日本の変革そのもの。DXによって変わる、企業と未来とは?

10月31日に開催されたONE JAPAN CONFERENCE 2021から、『DXで変わる、企業と日本の未来』のトークセッションの模様を一挙に公開する。

<パネリスト>
安宅和人
慶応義塾大学環境情報学部教授
ヤフー CSO(Chief Strategy Officer)

石倉洋子
デジタル庁デジタル監
一橋大学名誉教授

村上明子
損害保険ジャパン 執行役員待遇DX推進部長
一般社団法人情報支援レスキュー隊理事

加治慶光
シナモンAI 取締役会長兼CSDO
日立製作所Lumada Innovation Hubシニア・プリンシバル
鎌倉市 スーパーシティ・アーキテクト

谷本有香(モデレーター)
Forbes JAPAN Web編集長


谷本:本日司会を務めます、谷本有香と申します。『DXで変わる、企業と日本の未来』と題し、今を時めく日本のDXをリードされているパネリストの皆様にお集まり頂きました。DXという言葉が叫ばれる中、コロナ禍を機にDXが加速したのではないかという指摘もありますが、本当にそうでしょうか?

DXの国際的なランキングを見てみましても、日本は20位にも入っていないという状況です。ITリテラシーやリーダーシップの問題も指摘される中、私たちは、一体どうしたらいいのか? 国や企業は、DXを推進していくうえで、何が必要なのか、パネリストの皆様と議論を進めて参りたいと思います。

安宅:2012年の夏からヤフーのCSO(Chief Strategy Officer)を務めています。2013年春にあまりのデータ人材の少なさから、国に任せては間に合わないと実感しまして産学の有志でデータサイエンス(DS)協会も作りました。データ×AI時代に必要な人材像、そのスキル要件(スキルレベル、スキルチェックリスト、タスクリスト)などを今は(国側の)IPAさんらと共に整備する一方、産業のターンアラウンド視点や必要な人材育成に関する提言を求められ微力ながら投げ込んできました。数理/DS/AI教育については、これからの時代の読み書きそろばん(リテラシー)の一種として高等教育を受ける人全てに提供すべきということを訴えてきましたが、これは数年前に通り、現在モデルカリキュラムと認定制度を策定・運用し始めています。その一方、2016年から慶応義塾大学SFCにて未来を生み出す人材の育成にも直接携わっています。

石倉:私はフリーターなんです(笑)。自分では自遊人と言っているのですけれど(笑)。これまで民間企業の戦略を担当しておりまして、デジタル庁を手伝わないかと声が掛かり、民間企業やそれまでやっていた評議員も全部やめて、デジタル監をお引き受けしました。デジタル化は、日本の将来を決めると常々思っていたので、直接関与出来るのが魅力的でした。デジタル庁に行ってみたら、びっくりする事ばかりで。そのお話は、後ほどお話します。


撮影:伊藤 淳

加治:私は日立製作所Lumada Innovation Hubシニア・プリンシバルをしながら、シナモンAIで、取締役会長兼CSDOをしています。スタートアップだからこそ、ビジネスモデルの原点にサステナビリティを入れ込んで推進していきたいと考えています。また、鎌倉市のスーパーシティ・アーキテクトもしているのですが、以前は、アクセンチュアにもおりまして、官僚としても働いていました。本日は、民官、両方の視点からもお話出来るのではないかと思います。

村上:損保保険ジャパンという保険会社でデジタルトランスフォーメーションを推進しています。現在は、DX推進部で部長を務めております。DX推進部が開設しましたのが、今年4月で、私が損保ジャパンに転職しましたのも今年4月です。それまではIBMで、会社の外側からDXを支援する立場におりました。IBMは、新卒から入社し、研究者としてキャリアをスタートしまして、ワトソンという製品開発で、DXに関わらせていただきました。もうひとつの肩書きとして、災害ボランティアをITから支援する活動をする団体の理事も行っております。

谷本:トークの前半は、「DX、企業として何をしていったらいいか?」、そして、後半では、「国として何をしていったらいいか?」という2つのパートに分けてお話を進めて参りたいと思います。
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文=中村麻美

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