米紙ニューヨーク・タイムズが報じたところによると、米国における2020年全体の新たな事業申請は約430万件に上った。これは前年から24%伸びている。この数字は今年、さらに伸びようとしている。
欧州でも状況は同じだ。英紙フィナンシャル・タイムズによると、英国では2021年3月までの1年に81万以上の事業が法人化された。前年の同時期と比べると22%の増加だ。
こうした数字からは、起業家精神はまだ健在なことが示されている。これは意外なことではないかもしれない。
コロナ禍による大変動で多くの人はキャリアを見直していて、これまでずっと夢見てきたことを「やるなら今だ」という一押しを与えられた人もいる。通勤がやオフィスがなくなることなど、これまでには想像もできなかったような方法で一夜にして労働生活が変化することを目にし、一部の人は「他には何が可能だろうか?」と疑問を持つようになった。
多くの労働者が大きな不満を抱えていること、嫌いな仕事を我慢して続ける意思が消えつつあることは、いわゆる「グレートリジグネーション(大辞職)」からも示されている。このトレンドを動かす主な要因として燃え尽き症候群やキャリアが前進しないこと、柔軟性の低さが頻繁に挙げられる中、より多くの人が事業経営に目を向けるようになっているのも不思議ではない。
自分の目的を自分で定義し、自分の目標を自分で設定し、自分の勤務日は自分で決める自由を与えてくれる道が他にあるだろうか?
しかし、起業すればこうしたものを全て手に入れることができる一方、悪習にはまって道を見失うことも簡単だ。私はこれを理解している。これは私に実際に起きたことだ。ここでは、新たに起業した人が同じ間違いを犯すのを避けられるよう、私がこれまでに学んだ教訓をいくつか紹介する。
1. 「重労働神話」を信じないこと
新しく会社を立ち上げる人は誰でも、失敗に対し病的な恐怖心を持っている。新しいことを始めることはリスクが高く、成功の可能性について疑問を投げ掛ける批判者はいつもいるだろう。
その結果、多くの起業家が事業に頭から飛び込み、1日の全ての時間を仕事に生き、仕事を呼吸し、仕事を夢に見ている。時間数をつぎ込むことが自動的に多くの達成事項につながるという考えが広く共有されていることから、これには表面的に安心させる効果があるかもしれない。