オフィス勤務が再開で「忙しい文化」も復活へ?

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新型コロナウイルス感染症が流行する前は、早めに出社したり遅くまで残ったり、全般的に常に動いているところを見せたりなど仕事で明らかに「忙しく」していることが(欠陥はあるものの)生産性の基準として支配的だった。

遠隔勤務への移行により、どれほど一生懸命働いているかを示すこうした評価基準は消え、私たちは標準的な評価基準を見直している。また「常にオン」の状態にあると太鼓判を押されることで評価を得てきた人はその地位を失うことになった。

オフィスに戻る労働者が増える中、「忙しい文化」は静かに戻ってくるだろうか? そうであれば、昇進や地位、健康、協働にどのような影響がもたらされるだろう?

忙しい文化の裏の心理


仕事で忙しいことはその人の需要が高いことを示唆する場合があり、それぞれ良い点と悪い点がある。

良い点は、特定のスキルセットを持つことが理由で自分だけにできる仕事であれば、高い地位にいる感覚が得られることだ。悪い点としては、仕事が多く、自分以外の誰にもその仕事ができないと感じられる場合、それは仕事の委任スキルの低さや個人的な境界線を設定していないこと、業務量をよりうまく共有するためのチームの他メンバーの適切なスキルアップに抜けがあることが示唆されている。

また、忙しければ忙しいほどより多くの影響を与えているという誤解もあるかもしれない。しかしこれでは、ただ忙しいだけの愚か者だ。忙しくなる必要がある理由は自己の価値だけではない。断りきれずに苦労する人や、仕事で退屈し、たとえそれほど付加価値がなかったとしても気を紛らわせるため、あるいは対処メカニズムとして「忙しい」を利用する人もいる。

常に忙しくしている理由を突き止めれば、雇用主は解決策を見つけることができる。断れない人にはコーチングやカウンセリングが必要かもしれない。また退屈している場合には、仕事でいつもと違う課題や仕事がもらえないか頼むことで、必要とする変化が得られる。

仕事で忙しくしている状態を分析


私たちは、人が「忙しい」と言うときに何を意味しているのかを理解する必要がある。疲労や圧倒されている感覚など、他の感情の代わりとしてこの言葉を使っているだろうか? 努力を認めてほしいという静かな訴えだろうか? 優先順位を上げるために支援が必要だと言っているのだろうか? こうした微妙な感情を「忙しい」の一言でくくってしまうことが楽な場合もある。
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翻訳・編集=出田静

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