狙いはメタバース、VFXスタジオの買収でユニティの株価が急騰

ユニティ・ソフトウェアの最高経営責任者 ジョン・リカテロ(Getty Images)


ユニティCEOとしてのリカテロは、同社がイノベーションの最前線に立ち続けられるよう積極的に手を打ってきた。最近になって多くの企業を買収しているのも、この戦略の一環だ。これまでに同社の傘下に入った企業には、ディープラーニングとコンピュータービジョンを専門とするRestARや、3Dデータの準備および最適化ソフトウェアを手がけるPixyzなどがある。

リカテロは今回のウェタ・デジタルの買収について、ユニティが「メタバース」を構築する後押しになると述べている。メタバースとは、人々がアバターとして交流できるデジタル世界について、ゆるやかに指し示す話題の概念だ。

「我々が目指すのは、どこにでもいる14歳の若者が、ゴラム(「ロード・オブ・ザ・リング」のキャラクター)を映像化した際のピーター(・ジャクソン監督)と同様の創作活動ができて、創り出したキャラクターをメタバースに登場させられるような世界だ」。今回の買収について報じるウォールストリート・ジャーナルの記事で、リカテロはそう語っている。

だが、ユニティのCEOに就任して以降、リカテロはトラブルと無縁だったわけではない。2019年には、同社の人材獲得担当の元バイスプレジテント、アン・エバンス(Anne Evans)が起こした訴訟で、名指しで糾弾されている。この訴訟でエバンスは、リカテロをはじめとするユニティの男性幹部たちが女性従業員について公然と性的な発言を行い、関係を結ぼうとしたと告発した。エバンスはさらに、リカテロが彼女自身と彼女の部下2人に性的関係を誘ったと主張した。

エバンスは、自身が最終的に解任されたのは、セクシャルハラスメントの申し立てを報告したことへの報復だったと述べている。一方、ユニティはこの主張を否定し、エバンスが退社に追い込まれたのは、「第三者の調査」により判明した「深刻な不正行為」の結果だと主張している。

ユニティはまた、リカテロや他のユニティ経営幹部に対するエバンスの訴えについても事実ではないと主張し、「誤った主張には断固として抗弁する」との姿勢を見せている。この一件は、カリフォルニア州の裁判所で係争中だ。

この記事の執筆に際し、フォーブスはリカテロにインタビューを申し入れたが、取材は断られた。

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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