狙いはメタバース、VFXスタジオの買収でユニティの株価が急騰

ユニティ・ソフトウェアの最高経営責任者 ジョン・リカテロ(Getty Images)

ときには、「2度目の挑戦」で成功を手にする人もいる。少なくとも、ユニティ・ソフトウェア(Unity Software)の最高経営責任者(CEO)、ジョン・リカテロ(John Riccitiello)はこのケースと言える。

フォーブスの試算によると、リカテロは、自身が率いるユニティの株価急騰により、ビデオゲーム業界で最新のビリオネアになったと見られる。大いに話題を呼んだエレクトロニック・アーツ(EA)のCEO辞任劇からからわずか8年で、ビリオネアの地位を手に入れたことになる。

リカテロは2013年3月、当時業績不振となっていたEAのCEOを辞任した後、2014年にCEOとしてユニティに加わった。ユニティは、サンフランシスコに拠点を置くビデオゲーム関連のソフトウェアメーカーで、「ポケモン GO」や「Among Us」、「Overcooked - オーバークック」といったヒットゲームタイトルの背後には、同社のゲーム開発ツールがある。

現在63歳のリカテロの純資産は、推計14億ドルに達する。これは、主にユニティの株価上昇がもたらしたものだ。同社の株価は、2020年9月の新規株式公開(IPO)時と比べて3倍以上に上昇している。リカテロはユニティの株式を350万株保有し、280万株分のストックオプションも手にしている。また、これまでのユニティとEAの株式の売却で、2億1500万ドルの税引後利益を得たと見られる。

リカテロの資産額をさらに押し上げたのが、ユニティが2021年11月に行った、同社史上最大となる買収案件の発表だ。つまり、ビジュアルエフェクト(VFX)スタジオ、ウェタ・デジタルのテクノロジー部門を買収したことだ。

ウェタ・デジタルは、映画シリーズ「ロード・オブ・ザ・リング」三部作の監督として知られるピーター・ジャクソンが共同創業者に名を連ねるスタジオだ。ユニティは、現金と株式を合わせた16億2500万ドルと引き換えに、ウェタのテクノロジーやツール、人材を手に入れる。

ユニティの株価は上昇し、ジャクソンもビリオネアの仲間入りをした。ユニティの関係者では、2004年にユニティを立ち上げたメンバーの1人で、2014年にリカテロにその地位を譲るまでCEOを務めていたアイスランド生まれのデイビット・ヘルガソン(David Helgason)、同じく創業者の1人で最高技術責任者(CTO)を務めるドイツ出身のヨアキム・「ジョー」・アンテ(Joachim "Joe" Ante)もビリオネアとなっている。
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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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