10月のデータからは、かつてはデフレを進める経済的要因だったオンライン価格が、当面の間はその逆の影響を与える可能性が高いことがさらに示されている。
新型コロナウイルス感染症の流行が引き起こしたネットショッピングの急増は、サプライチェーン不足とともに、ネット販売価格が長期にわたり毎年減少していたパターンを覆している。
アドビは報告書で、節約を目指す買い物客にとって「電子商取引はかつてのような安全な場所ではない」と結論づけた。
価格は10月には前年比で1.9%上昇し、前月比で0.9%上昇した。新型コロナウイルスの流行前の2019年10月には、ネット小売企業は前年比6.6%の価格減の中で年末商戦に突入していた。
アドビ・デジタル・インサイツ(Adobe Digital Insights)のリードアナリスト、ビベック・パンディアは「ネット上のインフレが17カ月連続し、私たちはデジタル経済のニューノーマル(新常態)に突入している」と述べた。電子商取引が小売全体に占める割合が増える中、オンライン価格の変化が消費者や経済全体に与える影響が大きくなっている、とパンディア。
消費者物価指数(CPI)で測定されたオンライン以外の価格は10月、これまでよりはるかに早いペースで増加し、前年比で6.2%のインフレだった。しかしアドビは、オンラインのインフレがこれまでの価格の減少と比べて特に重要だと考えている。
アドビによると、電子商取引の価格は2015年~19年の間に平均で毎年3.9%減り、1年の減少幅は4~5%が多かった。
消費者はまた、今年の年末休暇シーズンにそれほどオンラインでの値引きを見込めないとアドビは予想している。
アドビの報告によると、価格上昇や、10月に記録的な約20億件の「在庫切れ」メッセージが表示されたことにもかかわらず、消費者はネット上で先月、約7200万ドル(約82億円)を費やした。これは2020年10月と比べると8%の上昇だ。
アドビは米国の消費者が、今年の年末休暇シーズンに最高記録となる約2070億ドル(約23兆6000億円)をネットショッピングに費やすと予想している。この売り上げの17%は、感謝祭とサイバーマンデーの間になるとされている。
アドビは年末シーズンに支出される4ドル(約460円)のうち1ドル(約115円)、つまり25%は今年、オンラインで使用されることを見込んでいる。
アドビのDPIは、電子商取引サイトへの1兆件以上の訪問から集めた匿名のアドビ・アナリティクスのデータを使用し、18の商品カテゴリーにわたる1億以上のSKU(最小在庫管理単位)を対象としている。