マスクは「最善」の公衆衛生対策か、コロナ感染を53%削減と推計

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英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルに掲載された研究結果によると、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染は、マスクの着用で53%削減できると考えられるという。大きな論争を引き起こし、過度に政治化されたこの感染予防策は、SARS-CoV-2に対する最も効果的なツールであることが分かったと言えそうだ。

研究チームは、SARS-CoV-2の感染拡大を防ぐための公衆衛生対策について、各国で行われた72件の研究が示す結果のメタ分析を実施。マスク着用、社会的距離(ソーシャルディスタンス)の確保、手洗いは、いずれも新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の患者を減らすことに効果的だったことが示されたという。

公衆衛生対策のうち、感染者数を抑制することに最も効果的だったのは、マスクの着用(53%減)で、ソーシャルディスタンスを取ることは、感染者の発生を25%減少させたとみられている。

また、分析の結果から、手洗いも感染者の発生率を53%減少させたと考えられている。だが、この対策について評価することを目的とした研究は件数が少なく、論文の著者らは、この結果については「統計的に有意ではない」との見方を示している。

一方、検疫(隔離)や都市封鎖(ロックダウン)、学校の閉鎖など、その他の(非医学的な)公衆衛生対策については、それぞれの研究デザインや実施の方法が異なるため、評価することができないという。

これらの厳しい措置については、対策として有効であることを示す証拠がある一方で、行動を制限することは持続可能ではなく、研究チームは、「経済的、社会的に重大な影響を及ぼしうるものである」ことを指摘している。これらの措置の潜在的な長所と短所については、“慎重に”比較し、評価する必要があるという。

文化戦争の引き金に


パンデミックの発生当初から、マスクは感染拡大を抑制するための重要なツールとされてきた。だが、同時に個人の自由と公共の利益を引き比べる「文化戦争」の 引火点となってきた。
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編集=木内涼子

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