食材の壁を越えて。パリで腕を磨いたシェフが京都でつくるフランス料理

古賀隆稚シェフ(左)と「ル・サンク」のクリスチャン・ル=スケール氏(右)


中でも私が個人的にとても気に入ったのが、メインディッシュの七谷鴨のパイ包み。日本に帰国したばかりの頃、「好みにあう赤身の肉探しが難航している」と語っていた古賀シェフ。しばらくたった頃、理想の鴨が見つかった、と話してくれたのがこの七谷鴨だった。



半分に切ったパイの側面に薄切りにしたトリュフが貼り付けてあり、温まったトリュフの魅惑的な香りに、程よい食感の鴨の胸肉、鴨のレバーと心臓で作った血の香りのファルスとフォワグラとが重なる。季節にはジビエ料理を作り続け、力強い野生の生き物の肉と長年対峙してきた古賀シェフならではの、本場の味わいだ。緊急事態宣言下でワインと合わせることは叶わなかったが、銘醸ワインと合わせたらどんなに素晴らしいだろう、と思わせられた。

サイドに添えられた甘酸味のピュレは、こっくりとした濃密な甘みはデーツから、華やかな香りはマンゴー、酸味としてマンゴービネガーを合わせたもので、古典的な料理を精巧に作ることはもちろん、バランスの取れた遊び心ある組み合わせで楽しませてくれる。


フォーシーズンズホテル京都

京都市内で、国立博物館まで徒歩わずか5分ほどという交通至便の場所にありながらも、平安末期の面影を残す由緒正しい庭園と、広々としたリゾート感あふれる建物。1階の客室からは、目の高さに、鷺や鴨が遊ぶ池や庭園を望むことができ、まるで一軒家にステイしているような寛ぎ感を楽しめる。

ウェルネスに力を入れているホテルだけに、広々としたジムやプールなども充実、さらに京都らしい香道や武道、茶道、座禅や陶芸、お座敷遊びなど多様な体験も準備されており、美食を楽しむステイケーション先としてもお勧めだ。

文・写真=仲山今日子

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