成功の障壁となる5つの認知バイアス

Jack_the_sparow / Shutterstock.com


3. 自己中心性バイアス

自己中心性バイアスとは、他者の視点よりも自分の視点に重点を置く傾向のこと。ビジネスでは、リーダーに自己中心性バイアスが働くことで、自分の視点を裏付けるデータの方に注目し、自分の意見に反するデータを軽視してしまう。

世界の見通しは不透明なものであり、データは不明瞭なことが多いため、リーダーにとって、自分の視点に合わないトレンドを見つけることは難しいと、タフは指摘する。その結果、リーダーはそうしたデータを意思決定に取り入れることができない。多様な声や意見に注意を払うようにしよう。

4. 感情ヒューリスティックバイアス

このバイアスは、人が強く激しい感情的反応に注目する傾向のことだ。人は不安を掻き立てる情報やデータを見ると、それに対処する行動を取る可能性が高くなる。一方で、感情に訴えかけないデータは無視しがちだ。

先述のメディア企業の役員が、わずか1.75%の市場セグメントに心を動かされなかったのも、十分に強い反応が生じなかったことが理由だ。このバイアスの問題としては、強い感情を起こすデータのみに反応することで、小さいが成長中のトレンドが見逃され、気づいたときには手遅れになってしまうことがある。

5. 自信過剰バイアス

「人は、自分が状況を正しく判断している可能性を過大評価し、自分が間違っている可能性を過小評価する」とタフは説明する。 

人は自分の意見が正しいと思いがちだ。しかし本当のリーダーは、自分が間違っている可能性があることを認めるものだ。さまざまな意見を出す人を周囲に集め、率直な反対意見を奨励する。 

イノベーターは曲がり角の向こう側を見ることができると言われるが、それは正しい。イノベーターは、他の人が見逃すものを見ている。しかしそれができるのも、イノベーションを生む環境を作り出しているからこそだ。そして、そうした環境作りは、思考方法から始まる。

編集=遠藤宗生

ForbesBrandVoice

人気記事