テニスの彭帥選手だけではない、一時消息を絶った中国のセレブたち

女子テニスの彭帥選手(Getty Images)

女子テニスのポン・シュアイ(彭帥/ほうすい)選手が、中国のジャン・ガオリー(張高麗/ちょうこうれい)前副首相から性的暴行を受けたと告発した後、消息不明になっている問題を受け、著名人らに対する中国共産党の対応に、再び厳しい目が向けられている。

中国では2018年、有名女優の一人、ファン・ビンビン(范冰冰)が約4カ月にわたって行方をくらまし、安否が危ぶまれた。公の場に姿を再び姿を現したファンは、脱税の疑いで中国当局の調査を受け、その間は自宅で軟禁されていたと告白した。米紙ニューヨーク・タイムズはこの一件について、中国政府からエンターテインメント業界全体に対して示された、「警告」ともいえると伝えた。

実業界では昨年、中国の電子商取引大手アリババ・グループの創業者で富豪のジャック・マー(馬雲)が、3カ月近く消息不明になった。マーはその直前、中国の銀行は「質屋」のような意識で取引をしていると批判。ロイターによると、当局の怒りを買っていた。

マーは今年1月、教育分野で行っている慈善活動に関連して、オンライン会議に出席。再び公の場に姿を見せたが、英BBCは、マーは問題の発言の後、「目立つ行動を控えている」と報じた。

韓国のボーイズグループ「EXO」の元メンバー、中国系カナダ人のクリス・ウー(呉亦凡)は今年7月、女性に対する性的暴行の疑いで警察に身柄を拘束された。ウーのSNSアカウントは閉鎖され、同容疑者の作品も、音楽ストリーミングのプラットフォ-ムから削除されている。

そのほか8月には、約8600万人のフォロワーがいた女優のヴィッキー・チャオ(趙薇)の投稿が、すべて削除された。米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、チャオの名前は検索結果が表示されなくなり、出演した作品のストリーミング配信も中止されている。理由は、明らかになっていない。

高まるテニス界からの圧力


彭選手の所在が分からなくなったのは、11月2日。元副首相から性的暴行を受けたとSNSで告発した後に行方が分からなくなったことで、大坂なおみ選手をはじめ数多くのスター選手たちが、その安否を案じている。

中国の営英語放送CGTNはツイッターに17日、彭選手が女子テニス協会(WTA)のスティーブ・サイモン最高経営責任者(CEO)などに送ったものだとするメールの文面をツイッターに投稿した。

だが、サイモンCEOは声明で、彭選手が書いたもとは「考えにくい」とコメント。改めて、彼女の安全を示す「検証可能な証拠」の提示を求めた。

彭選手が失踪したことに疑問を持つテニスのトッププレーヤーたちが圧力を強めていること、そして前副首相に対する調査を求める声があがっていることに対し、中国共産党はどのように対応するのだろうか。

編集=木内涼子

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