イギリスの不動産大手ナイトフランクによると、英国ではオンラインの小売売上高が10億ポンド(約1540億円)増えるごとに、約3000平方メートルの都市型物流スペースが新たに必要になり、今後5年間の需要を押し上げる見通しという。
ナイトフランクの調査責任者のクレア・ウィリアムズは、「迅速で効率的なデリバリーが求められる中で、顧客のそばにある配送拠点のニーズは、ますます高まっている」と述べている。
トルコのフードデリバリーのGetir(ゲティール)や、英国のWeezyやZappなどのスタートアップは、人口密集地での15分以内のデリバリーを実現するために、ロンドンなどの都市部の倉庫をダークストアとして活用している。
その結果、ロンドンの大都市圏の10万平方フィート(約9200平方メートル)以下の物件の空室率は3.1%に低下し、賃料相場の上昇を招いている。
「ダークストアは、特に都心部での賃料の上昇を引き起こしている。15分以内のデリバリーを実現するためには、顧客から近い場所に配送拠点を置くことが必須になる」と、ウィリアムズは指摘した。
このことは、ますます多くのデリバリー企業が、ダークストアに加えて、それを補完する拠点を求めることにつながっている。昨年設立されたばかりのベルリンのデリバリー企業Gorillasは10月に新たに10億ドルの資金調達を発表したが、同社は先日、英国のスーパーマーケット大手のテスコと契約を結び、食品スーパーから配達を行おうとしている。
このようなトレンドは、ロンドンだけでなく、可処分所得の高い若い消費者が多い英国の他の大都市でも進んでいる。食品や食料品のデリバリーの需要は、パンデミックの中で急増し、実店舗の閉鎖にも後押しされて定着した。
「一部の地域では、フードデリバリーの業者が、使われていない店舗をダークストアとして活用する事例も増えている。今後は、レストランの営業再開も進む見通しだが、自宅で食事を楽しむための迅速なフードデリバリーへの需要がなくなるとは考えられない」とウィリアムズは語った。