アマゾンの自動チェックアウト技術を試験的に取り入れる「レジなし」店舗は、少なくとも3カ所に開設することが決まっているという。2店舗目は来年、ニューヨーク・タイムズ・ビルディング内に開業の予定。
これらはスターバックスと、アマゾンが2018年に1号店を開業したレジなしコンビニ「アマゾンゴー」が共同で運営する。最終的に何店舗の開業を目指すか、米国以外でもオープンする予定があるかについては、両社とも明らかにしていない。
新たな「サードプレイス」に
新店舗では、コーヒーを買いたいスターバックスの顧客は、モバイル注文を受け付けている他の飲食店と同様に、事前にアプリで欲しいものを注文。店に入ればすぐに、商品を受け取ることが可能になる。
顧客は携帯電話に入れたアマゾンゴーのアプリをスキャンするか、(手のひらで個人を識別する生体認証システム)「アマゾン・ワン」、またはクレジットカードを利用して入店する。
また、これらの店舗には、個別に利用できるワークスペースと、電源コンセントとUSBポートを備えた大型のテーブルが設置され、短時間で買い物を済ませたい人、座ってゆっくりしたい人のどちらにも、対応可能な店舗となることを目指す。
スターバックスのシニア・バイス・プレジデント、キャサリン・ヤングは、この新形態の店舗について、「従来のスターバックスの(自宅でも職場でもない)サードプレイスをもう少し、より簡単に(買い物ができるように)したもの」だと説明している。
「レジなし」店舗はスターバックスのメニューすべて取り揃え、買い物はロイヤルティ・プログラムの対象となる。一方、アマゾンもこの店舗で、自社のサラダやサンドイッチ、その他の商品を販売するが、それらの商品には、スターバックスのポイントは付かないという。
アマゾンは自社技術の販促が狙い
スターバックスは、アマゾンの「レジなし店舗」技術を試験的に導入することに同意した最大規模の企業となる。これは、他社にこの技術の導入を促したいアマゾンの新たな仕掛け。
アマゾンはすでに、この技術を使った実店舗を各国で展開している。だが、これまでのところ、他社に対するこの技術の販売は、順調ではない。ライセンス供与を昨年から開始したが、多くの小売業者は、最大の競争相手と見なすアマゾンとの提携に、消極的なのが現状だ。
また、ライセンス料も、利用する企業を増やす上での障壁の一つとなっているもよう。ニュース専門サイト、ビジネスインサイダーが入手した内部文書によると、アマゾンは年間の運用コストを、2020~23年の間に約75%引き下げることを目指しているという。