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2021.11.27 17:00

気候危機はメンタルヘルスに悪影響? 若者の間で広がる「エコ不安」とは


エコ不安の兆候とは


2020年11月、英国王立精神科医学会(RC Psych)は、児童・思春期精神科医の57%が、気候危機や環境の状況に関して悩んでいる子どもや若者を診察していることを明らかにしました。

RC Psychによると、エコ不安は診断名や精神疾患ではありませんが、一般的に見られる兆候として、ふさぎ込み、無力感、怒り、睡眠障害、パニック、罪悪感などが挙げられます。

またRC Psychは、「世界のことを考えてふさぎ込んだり、不安にかられたりすることは普通のことであり、若者が地球を気にかけていることの表れです。しかし、特に若いうちは、こうした感情に圧倒されて対処できないこともあります」と述べています。

精神療法士のキャロライン・ヒックマン氏は、エコ不安症は危機を認識していることの表れであるとして、「私たちが直面している現状への、健全な反応」である、と一歩踏み込んだ発言をしています。また、「環境への共感」や「環境への深い思いやり」の表れであるとも言えると述べています。

若者を支援するために、親や保護者ができること


RC Psychのウェブサイトでは、子どもや若者がエコ不安に圧倒されずに、対処できるようにするため、親や保護者向けの情報を提供しています。

そこでは以下の点が推奨されています。

・子どもや若者の話に耳を傾け、その気持ちを真剣に受け止める。
・子どもや若者に、今の感情は当然であり、思いやりのある人としての表れであることを説明する。
・種まきや散歩など、家族で自然の中で時間を過ごす。家庭からの二酸化炭素排出量を算出し、その削減する方法を考える。


気候変動への影響を減らすために私たちができることを、子どもたちに話してみましょう。イメージ: Seth Wynes/Kimberly Nicholas, Environmental Research Letters, 2017

・子どもたちが、環境はコントロールでき、希望があり、回復できると感じられるように行動を起こすことをサポートする。環境について同じ懸念を抱いている(地元またはインターネット上の)若者のグループとつながることも一つの方法。
・世界をより幸福に、より健康的に、より安全にするための解決策に取り組んでいる多くの人々がいることを、子どもや若者に伝える。

ラオ氏とパウエル氏は次のように述べています。「エコ不安を抱えている老若男女の多くが、希望を高め、前向きに捉えることができるようになるための一番の方法は、気候変動の緩和策と適応策についての最も信頼性の高い情報に、確実にアクセスできるようにすることです」。

(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)

連載:世界が直面する課題の解決方法
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文=Kate Whiting, Senior Writer, Formative Content

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