・都市経済のデジタル化とハイブリッドワークには、都市の物理的なインフラの変革が必要です。都市成功の鍵は、この2つの要素が握っています。
・現代の都市は、企業、通勤者、消費に焦点を合わせるのではなく、心地よい居住環境、イノベーション、体験を重視する傾向が見られます。
・都市の魅力は、税制や企業の存在感ではなく、生活を豊かにする快適な施設、体験、才能ある人々、そして住民に委ねられているところが大きいのです。
都市に住むハイブリッドワーカーに、より多くの選択肢を
テレワークのため、より安価で広い空間を求めるオフィスワーカーが郊外に集中することにより、都市部から大量の人口流出が起きています。その報道は誰もが目にしたことがあるでしょう。プライスウォーターハウスクーパース(PwC)は今週、従業員が望めば永続的にテレワークを可能とする通達を発表しましたが、これは企業がハイブリッドオフィスワークを重視する傾向にあることを示す最新の事例です。
パンデミック(世界的大流行)の初期には、大都市は急激な人口動態の変化から立ち直ることができないないという予測が少なからずあり、ソーシャルメディアの中には、主要な大都市は「命が尽きた」とする見方もありました。
実際のところ、明確な判断を簡単に下すことはできません。以前より都市化の影響はあるものの、都市部への移住パターンは一律ではなく、パンデミックによる長期的な影響についてはまだわかっていません。いくつかの大都市はさらに巨大化するかもしれず、小都市の中には新しい住民を呼び込むものもあれば、人口が減少するところもあるでしょう。
確かなことは、パンデミックやテレワークによって、オフィスワーカーは選択について強く意識するようになり、生活の質をこれまで以上に重視するようになったということです。米国では1億6000万人いる労働者のうち、4分の1は完全なテレワークを長期的に続けると予想されており、さらに多くの人々は仕事の大半がテレワークになると見られています。
このことは周辺事業にも連鎖的に広がり、都市計画に携わる人々や都市のリーダーたちがどのようにインフラを整備し、事業の資金調達をして、住民を惹きつけ、その関心を集められるかという政策に大きく影響を及ぼすことになります。