ビジネス

2021.11.22

SDGs経営をスムーズにする「マトリックス」のつくり方

Getty Images


ESGとSDGsをマトリックスで整理する


経営者が「SDGs経営」に取り掛かる際に戸惑うのが、ESG(持続可能な世界の実現のために、企業が持続的成長できるか判断するための視点)と、SDGs の関係だろう。SDGsをどのようにE(環境)・S(社会)・G(企業統治)に関連付けるべきなのだろうか。

手前味噌ではあるが、両者を関連づけてわかりやすく整理できるツールとして、「笹谷マトリックス」を紹介したい。筆者が伊藤園での経験を生かして、実践と理論からつくった経営支援ツールである。

2018年には経済産業省の「ESG投資/SDGs経営研究会」の資料としても紹介され、最近では様々な企業にも浸透してきている。169ターゲットレベルまで整理している企業には、モスフードサービス、スカパーJSAT、東日本高速道路(NEXCO東日本)、熊谷組、SOMPOホールディングスなどがある。

null
経済産業省の「ESG投資/SDGs経営研究会」資料より

これは、縦軸にESG重要課題、横軸にSDGsの17ゴールを配置したマトリックスである。縦軸ではまず、E・S・G各項目を洗い出すために、企業を含む組織が社会的責任に配慮した活動を行う上での指針を示す「ISO26000」(2010年発行)の7つの中核主題を使った。

中核主題とは、組織統治、人権、労働慣行、環境、公正な事業慣行、消費者課題、コミュニティ課題の7つ。ESGを網羅したバランスの良い構成となっている。

さらに細かな「重要課題」の洗い出しには、ESG投資の主要指数を盛り込む。業界や企業により異なるので、様々な指標を参考にしてほしい。

例えば、SASB(米国サステナビリティ会計基準審議会)の業界毎の評価項目や、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がESG投資を行う際の指数としても採用されている「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」、世界でも有数の歴史を持つFTSEのESG指数「FTSE Blossom Japan Index」の評価項目が参考になる。これらに加え、他の有力な調査機関の評価項目も加味すると良いだろう。
次ページ > 業界ごとの違いが浮き彫りに

文=笹谷秀光

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事