米ミレニアル世代にベビーブームの兆し 消費増加に期待

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コロナ禍の暗い日々が続いていた時期に、専門家はベビーブームが起きると予測していた。人々が家にこもり、外出しない時期が続けば、そうなるのが自然の成り行きだというのだ。だが実際には、将来に関してあまりにも不確実要素が多い状況のなかで、ベビーブームは起きなかった。多くの人が、最高の時期は過ぎた、未来は暗いと感じていたからだ。

どれだけ子どもを欲しがっているカップルであっても、金銭面を考えると、子どもを持つことなど不可能に思えてくるはずだ。ギリギリの生活のなかで、「住宅価格の20%の頭金」などどうやったら用意できるのかと、子育て世代は途方に暮れている。

また、ウイルスのアウトブレイクに対する恐怖と不安は、いまだに生々しく私たちの心に刻まれたままだ。米国の政治家たちは、お互いを攻撃するばかりだ。また、環境問題やサプライチェーンの機能不全、ガソリン価格の上昇など、悩みの種は尽きない。任意のソーシャルメディア・プラットフォームを10分ほどのぞいたり、ケーブルテレビのニュースを見たりするだけでも、米国の凋落に関するネガティブな声や怒り、嘆きに圧倒されることだろう。

一方で、商取引、そして経済を活気づかせる原動力は、未来への自信と信頼だ。最近になって、投資初心者のあいだで、ネットで話題の株式銘柄、ビットコインや非代替性トークン(NFT)、さまざまな暗号通貨を取引するブームが起きたのは、決して偶然ではない。

住宅価格は高騰し、以前の水準を上回る高値が続いている。新たなビジネスが加速度的な勢いで立ち上がっている。新規株式公開(IPO)や特別買収目的会社(SPAC)の件数も激増し、あらゆるタイプの先進的な企業が市場に公開されている。こうした現象はどれも、人々が未来に自信を持っていなければ起き得ないものだ。市場がまもなく暴落するという予感があるなら、株式や家を買う者などいないだろう。

ミレニアル世代のベビーブームは、最近耳にしたなかでも最も良いニュースのひとつだ。これは、若い人たちが社会全体の未来に希望を抱いていることを示す、私たちがまさに必要としていた兆候だ。このベビーブームは、繁栄と前向きな変化を特徴とする、新たな時代の到来を告げるものになる可能性を秘めている。

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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