バイデン政権は北京五輪で「外交的ボイコット」を行うべき

Lintao Zhang/Getty Images

米国のジョー・バイデン大統領と、中国の習近平国家主席の初のオンライン会談が、2021年11月16日(日本時間)に行われた。習は会談の場を利用して、来年2月に開催される北京2022年冬季五輪にバイデンを招くと見られているが、バイデンはそれを固辞すべきだ。

米議会の超党派議員は、国際オリンピック委員会(IOC)に対して、北京五輪を延期して開催地を北京市から変更するよう働きかけたり、米国の外交使節団の派遣を禁じる外交的ボイコットを求めた法案を提出したりしている。にもかかわらず、バイデン政権は態度を決めかねている。開会式まで残り100日を切った今でも、米国が政府として参加するか否かは定かではない。

人権をめぐる中国政府の横暴ぶりが悪化する一方であることを踏まえれば、対応が必要だ。中国の新疆ウイグル自治区では現在、少数派のウイグル族など少なくとも180万人が、政治思想を再教育するための収容所に拘束され、レイプや性的暴行、再教育、強制労働といった悲惨な扱いを受けている。現地当局は、出産可能年齢にあるウイグル族女性の少なくとも80%を対象に、強制不妊処置を施すという目標を掲げている。漏れ聞こえてくるニュースからは、収容所では世界が最も恐れる事態が起きていることがわかる。

トランプ前政権が、ホワイトハウスを去る当日の2021年1月20日に、ウイグル族に対して行われている行為はジェノサイド(民族大量虐殺)であり、人道に対する罪だと認定したとおりだ。

中国政府による一線を超えた行為はそれだけではない。香港では、自由や権利が脅かされている。香港に住む人たちの人権と政治的自由を保証してきた「一国二制度」という枠組みがあっさり覆されたのだ。そして、言うまでもないが、中国政府は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大について無責任な対応をとってきた。

五輪は、世界で最も誉れ高いスポーツイベントだ。アスリートたちは、五輪という国際舞台で戦うチャンスを手に入れようと、人生をかけてトレーニングを積んでいる。五輪開催国になるという栄誉を、民族を大量虐殺するような統治体制が敷かれている国に与えてはならない。
次ページ > 9カ月以上も対応を先送り

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事