「美しさ」って何だ? LUXがハリウッド女優のCMを止めた理由

ヘアケアブランド「LUX」の広告塔は、ハリウッド女優から水原希子へ


美しい髪が自信を与えてくれる


新ブランドビジョン「LUX BRAVE VISION 2030」には、「BRAVE=勇気」という言葉を入れた。

「たかがシャンプーだと思われるかもしれませんが、美しい髪は自分に自信を与えてくれる。それによってやりたいことへの一歩を後押しされるということがあると思っています。勇気という言葉は、そんな思いを込めて選びました」

新たなブランドアンバサダーには、水原希子を起用した。モデルとしてキャリアをスタートさせ、俳優、プロデューサー、デザイナーと枠に捉われないチャレンジを続けている水原は、近年はサステナビリティに関する発信・活動も多い、若きリーダーだ。


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同社が実施した消費者インタビューでは、「自分の軸を持って選択している人は美しい、素敵だ」という言葉が聞かれた。水原は、それを体現する存在だ。CMだけでなく、「美しさの価値観」を問うインタビューなどとあわせて、コミュニケーション施策を展開している。

多様性を分かっていても、自分には厳しい


LUXが2021年9月に行った「美しさ」についての消費者調査(対象:全国の15~49歳の女性、有効回答数:800)では、「人に対する美しさの捉え方に多様性がある」という考えが84.5%を占めるのに対し、「自分の容姿に自信が持てない」が81.2%、「自分の容姿を他の人と比べて落ち込むことがある」が61.4%という結果となった。

多くの人が「多様な美しさがある」ということを頭で理解してはいるものの、自分自身については未だに「痩せている」「足が細い」といった固定観念に囚われた美しさを求めてしまう。SNSの普及に伴って、他人に見られたり評価されたりする機会が増えている中、自分の容姿に自信が持てないでいる人の様子が浮かび上がってきた。

河田自身も、プラスサイズのモデルを素敵だなと思いながら、自分自身は体重を気にしてしまう、という経験があったという。

「だから、新しいブランドビジョンでは美しさに対する固定観念を取り除いて、一人ひとりが美しいと思っている方向に変化することを後押ししたいと考えています」
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文=三ツ井香菜 取材・編集=田中友梨 撮影=小田光二

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