MAILE MEYAR / マイレ・メイヤー
ナ・メア・ハワイ 代表
アラモアナセンターのすぐ隣に位置する、ワードウェアハウス内にある「ナ・メア・ハワイ」は、メイド・イン・ハワイにこだわった衣類やアート雑貨、カルチャーグッズの専門店。ハワイや太平洋関係の書籍や音楽CD、フラの道具や衣装、かつてハワイで使われた武器などもあり、ハワイの伝統文化を知ることができる博物館のような存在としてもよく知られている。
代表のマイレ・メイヤーは25年前、小さな子どもを抱えてフルタイムでビショップ博物館に出勤するのが難しくなったことから自分でビジネスを開始。幼少時より本が好きだったため、最初はブックショップをオープン。その6年後には、ネイティブ文化にフォーカスしたプロダクツも扱うようになった。現在は伝統的なクラフトのワークショップなども頻繁に行い、忘れられつつあるハワイアン文化の保存に尽力している。
「このショップはさまざまなクラフトを取り扱うことで、それらを制作するアーティストに作品を売る場所を提供しており、現在商品を扱っているアーティストや職人の数は300人以上。でもハワイでこういう店はほかにはありません。私は伝統文化の衰退を危惧しています。例えば乾燥させたハラの木の葉の繊維を編んで帽子やマットをつくる作業は、1日8時間やって完成までに1週間かかる。これをつくる職人の数は激減していて、そんな仕事をしたいという若者もほとんどいません。カヒリというハワイ王朝のシンボルだった羽飾りづくりも、いまは職人が2~3人しかいない。それらの技術を残すために、ここでワークショップを開いています」
メイド・イン・ハワイを冠した製品はたくさんあるが、多くの場合それらは利益を得るための道具として使っているにすぎない。
ローカル製品を重んじることがただのポーズで、それがハワイアン文化を守ることにつながらなければ意味がないと彼女は言う。
また、彼女はハワイの現代アートにも目を向けている。
「ハワイでは、公立の学校でアートを教えるところが少なくなっているのも問題です。
ホノルル美術館に所属するアートスクールがありますが、ハワイ出身の現代美術作家はとても少ない。伝統的なものだけでなく、現代作家の育成も大事なことだと考えています」。
ハワイのミソロジーをモチーフにした壁画で知られる人気画家のソロモン・エノスの代理人も務めながら、若い作家の発掘にも積極的だ。
また、ここはホノルルで唯一の独立系ブックショップ。
ハワイアンカルチャーに関する本が充実している点も特筆すべき点だ。
「ハワイ大学にハワイアン・スタディという学科がありますが、それ以外にハワイの伝統文化を学ぶ専門的な場所はありません。でも最近はハワイ語を意識的に残そうという動きもあり、いまはハワイ語を話す人が、私が子どものころより増えている。とてもいい傾向だと思います。ここではハワイ語の本も多く扱っていて、ハワイ語のクラスも開いています」
そしてここ数年、健康や教育など以前はあまり交流のなかった他分野コミュニティとのつながりで、ネイティブ文化を守る新たなプロジェクトが生まれつつあることにも、未来への希望を感じると語る。
「なぜいま、そういう動きが始まっているかといえば、これまで多くの人が西洋の手法を取り入れてきたけど、それがここでは効果がないとやっと気づき始めたから。健康を害している人、教育を受けられない人、家がない人など問題はいっぱいある。それらをハワイアンが自らの知恵と文化で解決していこうという動きが高まっています。ハワイアン文化は多様性があり、どんな人でも受け入れる寛容性がある。だから外から来た人も含めて、ハワイの文化を大切にしてくれる人たちと同じ志をもって未来を築いていく。それが理想ですね」
ハワイ語の本やハワイのスピリチュアルマザーと呼ばれているナナ・ベアリーの本などが人気。
上質なコアウッドの工芸品、イプやウリウリといった楽器類、サメの歯や最高級ニイハウ貝でできたアクセサリーなど多種多様な伝統工芸品が揃う。
鼻で吹く笛「ハノイフ」。ハワイアンにとって口から出る息は神聖なものなので鼻で吹くそう。
ウッドカービング、ハワイ語、ハラの葉でつくる帽子など10種類ほどのワークショップが日替わりで行われる。ネイティブ文化への情熱がアクティブな活動の原動力に
"NA MEA HAWAII 有名デザイナーによるフラの衣装なども人気が高い。ハワイ関係の書籍に関しては他店の追随を許さない充実度。
●1050 Ala Moana Blvd.,Honolulu, HI ☎808-596-8885 営10:00~21:00(日〜18:00) 無休
http://www.nameahawaii.com