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2021.11.18

ずっと起業家でいたい。「フェアな社会」で評価されることの面白さ


あらゆる人たちの転換点を超えていく


LayerXは、約1年前にピボットしました。最終的に解決したい課題は「すべての経済活動を、デジタル化する」であり、これはずっと変わりません。

ですが、これまでにブロックチェーンコンサル事業を通して得た「真の顧客ニーズ」をベースに新しいプロダクトをつくり、より広い顧客に提供していこう、と考えました。日本のデジタル化レベルは、ブロックチェーンを使う以前の段階だったのです。

そこで、地道なデジタル化のための新しい3つの事業を展開しました。当初は不安もありましたが、お客さまからは少しずつ良い反応をいただく機会が増えました。あるときから、「導入を検討したいので、この機能を追加して欲しい」などと、よく言われるようになったのです。現在はそうしたユーザーのニーズを取り入れ、加速度的に仕組み化しています。

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こうして、お客さまの「転換点」を超えて、不要だと思っていたものが必要不可欠なものに変わった瞬間を幾度も見てきました。実際に「当社のサービスが、課題解決にどれだけ貢献したか」について、ポジティブな反応をたくさんいただけました。

「あらゆる人たちの転換点を超えていく」それがサービスを生み出すことの意義であり、企業の魅力につながってゆくのではと思います。そうした瞬間は、得も言われぬ興奮みたいなものがあります。「使ってくれた、すげー!」みたいな。

安易な課題には飛びつかないで


解決したい課題があって起業家になる人もいれば、起業するために課題を見つけると言う人もいると思います。後者の場合、「どのような課題を解決するために起業しようか」と考えるときに、安易な課題には飛びつかない方が良い。例えば学生がパッと思いつく身近な課題って、学生の中だけのもので世の中からみると偏ったものだったりします。

僕はGunosyを立ち上げた時は学生で、共同創業者の3人とは一緒に機械学習の研究をしていたので、その技術をつかって「面白いニュースだけが抽出されたら嬉しいよね」と話をしている中で、アイデアが生まれました。

今考えればこのアイデアは、学生だけに「閉じた課題」ではなかったのと、「儲かること」を一番に考えずにプロダクトのことばかり考えていたので良かったのだと思います。

また、「同じ事業を未来永劫やり続けたほうがいい」という話も聞かれますが、僕はそんな前提は持たなくて良いと思います。思ったようにいかなければ事業転換しても、短期間で売却してもいいんです。

例えばソフトバンクはパソコン用パッケージソフトの流通事業からスタートしたし、サイバーエージェントも広告代理店からスタートし、ゲーム、メディア事業まで広がりました。ひとつの事業をやり続けないといけないというルールなんて、どこにもないですよね。
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文=西崎圭一 取材・編集=田中友梨 撮影=杉能信介

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